聖女の妹は無能ですが、幸せなので今更代われと言われても困ります!

ユウ

文字の大きさ
138 / 155

137届かなかった手~サリアside①





愛していないわけではなかった。
私がお腹を痛めて生んだ娘を愛しいと思わないはずはない。


だけど、私は嫁として認めて貰えず。
ジャネットを出産してすぐに義母に奪われる形となった。


手を伸ばし、我が子を取り戻そうとしても私は元伯爵令嬢でしかなく。
当時は、カルディも手を尽くしてくれたけど仕事で邸を開けている中侍女も私も味方ではなかった。


義母の息のかかった侍女は私を攻撃し、理由をつけてはジャネットと距離を保たせた。


長女であるなら乳母に任せ、教育に関しても義母の言葉が絶対だった。
カルディもどうにか奪い返そうと努力してくれたけど、当時はカルディの立場も弱かった。


私は義母から大事な娘を奪われてしまい、タイミング悪くジャネットが聖女の力に目覚めてしまった事で、義母は増長した。


聖女候補に選ばれることは誉だった。
けれど、義母は権力に執着し、ジャネットを王妃にしてゆくゆくは国盗りを企てていた。


私は…


ジャネットにそんな欲にまみれた場所に行かせたくなかった。
高位貴族の令嬢に生まれた以上は、高位な貴族に嫁がなくてはならないと理解していても。


政略結婚でも情のある男性の元に嫁いで、幸福になって欲しい。
そう思っていたけど、義母は私の考えをすべて否定し、祖母の考えこそが正しいと思うになったジャネット。


それでも私は言葉を尽くしたつもりだった。


「ジャネット。今日はお勉強をお休みしましょう。顔色が悪いわ」

「いいえ、必要ありません」

「だけど、勉強ばかりでは…」

「怠けていてはお母様のようになります」

「ジャネット…」


私の事をよく思っていない義母があることない事を吹き込んでいるのは知っていた。

だけどここまで酷いとは思わなかった。


「私は聖女になるんです。だから必要ありません」

「聖女も人よ」

「お母様は何も知らないなら口を開かないでください。どうせ解らないのだから」

「ジャネット…」


その横顔は義母にそっくりだった。


嫁いできてすぐの頃の瞬間を思い出す。



『所詮お前には何も解らないでしょう』


伯爵令嬢である私は高位貴族の常識に疎かった。
それでも必死に花嫁修業をして、女主人の役目を果たそうとしたけど。


『お前のような頭の悪い女は口を開かないでくださる?馬鹿が何をしても無駄よ』

『お義母様…』

『お前を嫁だと思ったことはりません。ジャネットはお前の娘ではない。私の孫だということを忘れないように』

ジャネットは私の娘なのに。
どうしてここまでされなくてはいけないの!

だけどこの時の私は無力だった。


感想 142

あなたにおすすめの小説

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです

藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。 理由は単純。 愛などなくても、仕事に支障はないからだという。 ──そうですか。 それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。 王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。 夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。 離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。 気づいたときにはもう遅い。 積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。 一方で私は、王妃のもとへ。 今さら引き止められても、遅いのです。

『「ママは我慢してればいいんでしょ?」と娘に言われた日、私は妻をやめた』~我慢をやめた母と、崩れていく家族、そして再生~

まさき
恋愛
私はずっと「いい妻」でいようとしてきた。 夫に逆らわず、空気を読み、波風を立てないように生きる。 それが、この家を守る唯一の方法だと思っていた。 娘にも、そうであってほしかった。 けれど── その願いは、静かに歪んでいく。 夫の言葉をなぞるように、娘は私を軽んじるようになった。 そしてある日、夕食の後片付けをしていた私に、娘は言った。 「ママはさ、我慢してればいいんでしょ?」 その一言で、何かが壊れた。 我慢することが、母である証だと思っていた。 だがそれは、私自身をすり減らすだけの“呪い”だった。 ──もう、我慢するのはやめる。 妻であることをやめ、母として生き直すために。 私は、自分の人生を取り戻す決意をした。 その選択は、家族を大きく揺るがしていく。 崩れていく夫婦関係。 離れていく娘の心。 そして、待ち受ける“ざまぁ”の行方。 それでも私は問い続ける。 母とは何か。 家族とは何か。 そして──私は、どう生きるべきなのか。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

【完結】離縁された侯爵夫人、使用人が全員ついてきた結果、元夫の屋敷が崩壊しました。

夏灯みかん
恋愛
十年尽くしてきた侯爵夫人キャサリンは、子どもができないことを理由に離縁を告げられる。さらに夫は愛人を後妻に迎えるという。 静かに屋敷を去ろうとしたそのとき―― 「我々も辞めます」 料理人、庭師、メイド、執事。 使用人全員が、キャサリンとともに辞職。 その結果、元夫の屋敷は崩壊していく。 一方キャサリンは、王妃に見出され離宮の管理を任されることに。 新たな場所で出会った人々とともに、彼女は本来の価値を取り戻していく。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。