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プロローグ
しおりを挟むフェルスター侯爵家は王家に継ぐ名門だった。
何代も続く大貴族でもあったが、家庭環境は良いとは言えなかった。
フェルスター家には二人の娘がいた。
長女の名前はコーデリア。
真面目で優秀で勤勉な令嬢だった。
次女はリリー。
愛らしく活発で明るい令嬢だった。
二人は異母兄弟で姉は前妻の娘で次女は後妻の娘だった。
何もかも正反対の姉妹で、誰からも愛されるリリーは姉から疎まれ嫌がらせを受けている。
冷酷な姉は両親から愛情を受けるのが面白くないのだと噂をしていたが、根も葉もない噂とは言い切れないのだ。
その理由は、コーデリアの婚約者で、婿養子に迎えられる予定のリーンハルトはリリーに懸想していた。
パーティーではコーデリアを無視してリリーを堂々とエスコートして、常に花束を送ったり、学園でも常にリリーを隣に置きたがる。
貴族間で政略結婚は当たり前だったが、リーンハルトはその当たり前を受け入れる事ができずにいた。
その所為で学園ではコーデリアは悪者扱いを受けて爪はじきにされてしまっていた。
学園だけでなく邸の中でも使用人たちはコーデリアを責め続け、使用人も陰湿な嫌がらせをして追い出そうとした。
その結果、次期当主に選ばれるはずのコーデリアは当主の座から外され、リリーが次期当主として選ばれてしまったのだった。
そしてパーティーの日。
公衆の面前でとんでもないやりとりが行われた。
「コーデリア、君のような悪女とは婚約できない!この場で婚約破棄をする」
大勢の前で婚約者を侮辱し晒し者にするリーンハルトはニヤリと笑っていた。
傍で両親も確信を持って笑う表情はとても醜いと思えるほどだった。
「私はリリーと婚約を結ぶ」
侯爵家の娘は一人ではない。
妹と婚約を続行すれば、何の問題もないと思っていたのだ。
その場にいる誰もがコーデリアを馬鹿にしながらリーンハルトとリリーの婚約を祝福していた。
他国の貴賓は訳が分からない表情で事の次第を見ていたが、事態は思わぬ方向に進んだ。
「リリー、私と結婚して欲しい。愛している」
薔薇にキスを送り、大勢の場でかっこよくプロポーズをしようとしたが。
「お断りしますわ!こんなストーキングで、ナルシスト男なんて願い下げです!」
「は?」
「何当然みたいな顔をしてますの?この最低二股絶倫浮気男!」
大勢が見ている場で婚約を断り、罵倒を浴びせるリリーはキッパリ断った。
拍手を送っていた貴族は固まり、祝いにシャンパンを飲んでいた者達も吹き零していた。
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