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第一章婚約破棄と勘当
2.疑惑が確信に
しおりを挟む12歳の誕生日を迎えた時だった。
ずっと疑惑を持っていた事が確信したのは。
「リリー美しいわよ」
「ありがとうお母様」
美しいドレスに身を包み首元にはダイヤのネックレスを身に着け、髪飾りは青い薔薇を飾っていた。
しかし…
「えっ…お義姉様?」
美しく着飾られたリリーとは反対にコーデリアは型崩れしたドレスだった。
色も地味で前にも着たドレスだった。
「おっ…お父様、お義姉様のドレスは…」
「ああ、必要ない。コーデリアには華やかなドレスは似合わないからな」
「ええ、あれがお似合いよ…」
吐き捨てるように言い放つ母の言葉をリリーは聞き逃さなかった。
「でも…」
「優しい子だな。コーデリアとは正反対だ」
「けれど主役が目立たなくてどうするの?コーデリア、何時まで突っ立っているの?早くお客様の持て成す準備をなさい!パーティーが始まったら極力を顔出さないように」
「はい、かしこまりました」
どうしてパーティーに顔を出してはいけないのか。
何故侍女がいるのに、お客様の出迎えをさせるのか。
ドレスだって新品を用意して貰っているのは自分だけだとなんて意味が解らない。
案の定誕生日パーティーではコーデリアは浮いていた。
婚約者のリーンハルトも他の招待客も相応しくない装いに顔を顰めたのだ。
(どうして?)
何故コーデリアに新しいドレスを送らなかったのか。
幼少の頃から思っていた疑問が確信に変わったのは、お手洗いの帰りに偶然聞いてしまったのだ。
「奥様、上手く行きましたね」
「ええ、本当に目障りな子だわ。みっともないドレスで本当に来るなんて…コーデリアのドレスを盗んでくれれば、侯爵家から追い出せたのに」
「不気味な子ですね。母親の形見の宝石を取り上げてやったのに泣きもしないし…ドレスだってわざと紅茶で汚して差し上げたのに」
「馬鹿じゃないの?汚れたドレスを大事に取っておくとか頭がおかしいわ」
「聞けば母親の形見らしくて…目の前でわざと汚して捨ててやろうとしたら泣きそうにしてました」
「そう、なら今度は母親の形見のドレスをズタズタに切り裂いてやりなさい…二度と立ち直れなくなるようにね」
嘲笑う母は鬼よりも恐ろしく感じた。
傍にいる侍女は侯爵家に古くから仕えていた騎士の娘だと聞かされていた。
(酷い…なんて酷いの!)
亡くなった母親の形見のドレスを汚したり破いたりするなんて許されない。
一番許せないのは侍女の方だった。
(騎士の娘がこんな真似をしていいの?人としておかしいわ!)
後妻である母は前妻の娘が気に入らず、邸から追い出しにかかっているのだと知った。
そして父親も加担しているのではと疑いの目を持つようになった。
リリーの推測は当たり、その後こっそりテーブルに隠れて盗み聞きをして証言を得ることになるのだった。
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