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第二章北方四島の絆
24願い
メルセウス伯爵を招き、急いでお茶の準備をした。
「たいしたおもてなしはできませんが」
「いいえ、いきなり押しかけてしまいまして、申し訳ありません。陛下より手紙を預かって参りまして」
「え…」
どの国でも君主の手紙が臣下が直接運ぶことがある。
ただ、外交官であり、直臣でもある者が任させられる事は稀だ。
婚儀の申し込みの手紙などならば別だが。
「先日にお送りくださった贈り物を陛下は大変お喜びでございまいました」
「え?届いたんですか?」
「勿論です」
半分は諦めていた。
相手は大事な皇女殿下だし、今の俺ではと思った。
「未来の女王陛下には少し貧相だったかと思いまして」
「未来のですか」
「ええ、彼女以外に誰がルーティン帝国を背負えましょうか。身分、教養、血筋は勿論。彼女には器がある」
後は健康な体があればいう事なしだが、全てを持つのは難しいのだろうな。
「皇女殿下は現在重い病で、医師からも長く生きれないと宣告を」
「医師は神様ですか?」
「しかし…」
「その間に治療法が見つかるかもしれません。絶対はありません…現に幼少期に10歳まで生きれるか解らないと言われて今も生きておられます」
「フィルベルト様!」
辛そうに顔を歪め涙を溜めるメルセウス伯爵。
彼女を愛する者は多い。
「彼女はこんな所で死ぬべき人ではありません」
俺は祈りを込めて鶴の置物を贈った。
ここで死ぬべき人じゃない。
出来る事は少なくて、ただ祈るしかできない。
「フィルベルト様、私達では皇女様に慰めの言葉もかけられません。既に病状は最悪なのです」
「そうですか…」
俺には欠ける言葉がなかった。
熱が下がらず、苦しみ続けて寝返りを打つ事も難しく。
汗だらけで皮膚に赤くなりっている。
「既に生きる希望すらないのです…もう私達には」
「ですが、私に何が…」
医師でもない俺は何もできない。
病気を治す力もない俺にできる事はあるのか。
いや、無くても支えになるのは。
「以前に占い師に縋って香炉が良いと聞きまして、試したのですが」
「香炉…」
「ですが、効果がなく」
香炉…香り。
「気休めにしかなりませんが…皇女殿下にお渡しいただきたいものが」
「え?」
香炉で気づいた。
エセリラ皇女は幼少の頃からラベンダーの花を好んでいた。
ハーブティーも大好きだった。
気休めにしかならない。
俺にできるのはこれが限界であるが、これしかできない。
ナージャにも何か良い案はないか聞いてみよう。
薬草師でもある彼女なら専門的な事を聞けるかもしれない。
後はエセリラ皇女が好きだった果物を土産に持って帰った貰う事にした。
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