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第三章雇われ国王物語
4悩み
しおりを挟む俺に選択権はない。
だが、エリンデール王国が他国に乗っ取られたら人外種族はどうなる?
エルフやローレライだけじゃない獣族と交わった者もいる。
彼等が迫害を受けるのは目に見えている。
エルフ族はまだ良い。
ダークエルフやハーフエルフはエルフの国では差別的扱いを受ける。
人類至上主義の国では彼等を物として考える者もいる。
故にエリンデール王国が長年保護して来たが、既に彼等だけで守れないのだろう。
「どうしたら…どうしたら良いんだ」
エリンデール王国の理念が崩れる事は世界のバランスが崩れるも同然で。
「フィルベルト様…」
「ポッポ?」
俺が裏庭で考え込んでいるとエレンフリークの農林水産を担当してくれている。
元は百姓の息子で農作物に詳しくじいやと協力してジャガイモの制作からその他の野菜を作っているのは彼だ。
「フィルベルト様、またレクサス殿に苛められたんですか。相変わらず情けないですね」
「ナツキ…」
この世界では珍しい黒髪に黒い瞳のナツキ・クラーク。
伝令晶にて求人をした際にこの二人は俺が直接面接をして採用した。
「別に苛められてない」
「そうですか。いい加減部下を御する事を覚えてください。何様ですかあの男は」
「いや…」
「貴方は主です。いかに乳兄弟と言えど行き過ぎます」
いや、お前も十分だと思うぞ。
元は他国の出身で、叔父夫婦の元に身を寄せており。
持って生まれた才能を持て余していたのだが、何故か今回の求人に応募したらしい。
聞けば俺が元王太子と最初から知っており、無能か有能かと為好きだったらしく。
無能であれば全力で潰す気だったと後から暴露された。
宮廷貴族や特権をあてにしている貴族では国を崩壊させる。
そんな連中に使われるなんて嫌だとか、しかも面接の場で彼は。
「本当に無能であれば、革命を起こしてやろうと思いましたが残念です」
だそうだ。
彼の言う無能とは机の上でした国の状況を知らない人間の事らしく。
ずっと不満を持っていたそうだ。
「それで、何をお悩みですか?ある程度ならばこの完璧な秘書官である私にお任せを」
「はは…」
自分で言うのかよ。
「いや、俺が花婿ってどうなんだろう?」
「「は?」」
ポッポと一緒に首をかしげた。
「えーっと、他所の国の花婿に望まれちゃって…どうすべきかな?」
「えええ!お嫁に行くんですか!」
「もう少し詳しく説明していただけませんか」
こうなったら客観的な意見を貰おう。
第三者の意見をもらいながら答えを出すしかない。
まぁ拒否権はないにしろナツキにアドバイスを貰う事にした。
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