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第一章
プロローグ
しおりを挟む美しい花が咲く季節。
お茶会が催され、この学園に通う貴族令嬢はお茶を楽しみながら交流を深める。
貴族のお茶会は人脈作りをする為にも重要であるが、まだ成人していない学生では主に家の財の自慢や新しい髪飾りや、ドレスの自慢をする。
そんな中で一番輝いている令嬢がいた。
美しい銀髪に碧眼。
生ける宝石と呼ばれる公爵令嬢であるあの方だった。
私の憧れの方。
リーゼロッテ・ハイシュベルク様。
「ジュリエット、私の妹におなりなさい」
「はい?」
温かい日差しの中、私は耳を疑った。
春の温かさで私はまだ寝ているのかと思ってしまったぐらいだ。
「私の傍にいるのが嫌なの?」
「滅相もございません。ですが…」
「我が学園では上級生が下級生にカメオを贈る事で姉妹としての契約をするのは知っているわね?」
「はい」
格式高い聖ヴィンセント学園では上級生が下級生を導く制度がある。
寮生等では上級生の世話を下級生が行うとなるシステムだったのだが、現在私は寮生活をしているがお世話をするお姉様はいない。
「私は誰でも良いと言っているのではなくてよ」
「ですが…」
「私が良いと言っているのよ?私のいう事が聞けないの?」
「はひっ!」
なんて事だ。
顎を掴まれ至近距離のリーゼロッテ様に私は死にそうだ。
「はいといいなさい」
「はっ…はい」
「結構」
私は意識も殆どない状態で頷いてしまった。
「馬鹿だろ君」
「ルーク様」
「馬鹿としか言いようがないね?どうせ姉さんに見惚れていたんだろ?どんだけ姉さんが好きわけ」
「この世が滅んでも愛を叫びます」
「馬鹿だ。馬鹿すぎる」
私がお馬鹿なのは生まれた時からなのかもしれない。
否定はしないけど。
「ルーク様、とりあえずその石でおもいっきり殴ってください」
「は?」
「憧れのリーゼロッテ様が私のお姉様となる現実から早く目覚めるべきです。きっと私の願望です。そしてあのクソ王子が捨てられたのも」
現在学園では恐ろしい流行に乗っかっている生徒がいる。
婚約破棄ブームだ。
真実の愛だとかいって何を間違えたのか、婚約破棄をする男子生徒が増えている。
男子だけではなく女子生徒も婚約破棄をして大問題となっているのだけど、そのことが原因でリーゼロッテ様は最近になって婚約者と婚約解消をなさった。
とは言え、他の人達とは異なり解消に持ち込んだ。
破棄と解消ではだいぶ変わるのだけどその後、徹底的に相手方を攻撃したけど。
私は地味に嫌がらせをしたい。
「私の憧れのお姫様。いいえ女神様がいながら浮気したんです!許せません、呪ってやりたいです」
「どんなに足搔いても姉さんと結婚は無理だぞ」
「何を言いますか。恐れ多い!」
私にとってリーゼロッテ様は憧れで遠くから見つめるだけで幸せだった。
「あれは忘れもしない十年前」
「聞けよ人の話を」
リーゼロッテ様との出会いは今から十年前に遡る。
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