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48醜聞
しおりを挟む社交界では多くの貴族と医師が粛清対象となった事で慌ただしかった。
これまで対立関係にある貴族派の勢力が削られたのだから、御機嫌伺をしていた貴族達の次の行動は手に見える。
「またか」
王都を空けている間に貴族派の粛清により、媚びを売っていた貴族。
ヴィッツ伯爵家の同様だった事から、窮地に立たされ私に頼るようになったのか。
邸を空けている間に手紙が何通も届いていた。
それだけではなく実家にも手紙が届き、私に合いたいとの事だったが。
「今さら虫が良すぎるわ」
「対応は私達に任せなさい」
ヴィッツ伯爵家の婚約解消は既に片付いている。
私とリディア様の婚約が白紙になる事はまずないのだから。
「お前は何も心配しなくて良い」
「そうよ」
今私が考えるのは社交界の噂でもない。
ライルハルト殿下の事もそうだ。
私が気にしてもどうにもならない。
「解っています。今私が考えるのはリディア様に害が及ばぬようにすることです」
「そうよ。それでこそ私の息子」
「痛いですよ母上」
背中を叩か痛みが走る。
「薔薇の儀式は無事に叶ったようね」
「はい、さして問題はありませんでした」
儀式は成功した。
私は何があってもリディア様意外と伴侶になる事はない。
だが、こんな縛りが無くとも私は覚悟を決めている。
王宮内では新たな醜聞で騒ぎになっていた。
「お待ちくださいライルハルト様!嘘ですわねよ」
「何がですか?」
「王弟殿下の養子になられるお話です。そんな馬鹿な…」
「馬鹿?何を思って馬鹿と言うのか。事実です」
「嘘ですわ!」
王宮内ではサンドラ嬢が人目を気にせずに騒いでいた。
こんな公の場でこんな騒ぎになるなんて。
「だって貴方様は次期皇帝となる方でしょう?なのに…」
「勘違いしているようですね。私が侯爵家に婿に入るのは五年前から決まっていた事です」
「婿…だつて!そんなの!」
これ以上騒げばライルハルト殿下の立場も危ぶまれる。
しかし私がしゃしゃり出るわけには行かない。
「何所の世界に皇太子殿下が婿入りするなんてふざけた事が…」
「我が帝国を侮辱する気ですか」
「だっておかしいもの!」
まずい、これ以上は国同士の関係に皹が入ってしまう。
「ヴィッツ伯爵令嬢、そこまでです」
「シオン?」
「これ以上は許されませんよ」
隣国の皇太子殿下に対してこれ以上無礼を働けば外交問題に発展する。
「公の場でこのような問題を起こし、外交に傷をつける気ですか」
「何ですって!」
「ライルハルト様は隣国の皇族です。騎士として、この国の貴族としてこれ以上の無礼は許されません。お前達、ご令嬢をお連れしろ」
傍に控えている部下に命じて、すぐにこの場から立ち去らせるも。
「ふざけないで!この私にこんな無礼を許されると思っているの!」
最後まで暴れ回っているが強制的に退場させた後。
「申し訳ありません」
「シオン殿が謝る必要はない。だが助かったよ」
気分を害した様子もなかったが、後日王宮にて。
「シオン!どういうつもりなの!」
警備に当たっているとサンドラ嬢に王宮内の廊下で怒鳴り散らされてしまった。
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