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53新たなロマンス
しおりを挟む品行方正で王家の剣と呼ばれる騎士と気高き王女の恋物語。
共に心に傷を負いながらも二人は出会うべくしで出会い、運命の女神により結ばれた。
――まるで前世から恋人だったように。
「そして二人の愛は…」
「その演劇のナレーションのような真似は止めてくれ」
先日の出来事がそのまま記者に書かれてしまっていた。
朝一番で声高らかに読み上げるディアッカに頭が痛かった。
「何で昨日の今日で記事になっているんだ」
「どうせ仕組んだんだろ」
チャールズの言葉にそっぽを向くディアッカを肯定と見なした。
「なんだってこんな真似を」
「ここいらで姫様の威厳を周りに示した方がいいと思ったんだよ。まさかここまでうまく悪役になってくれるとは思わなかったな」
「ディアッカ…」
そこまでするか。
何処までサンドラ嬢を毛嫌いしているんだ。
「言っておくが両陛下には賛同いただいている」
「ああ…」
何故ノリノリで協力されたんだ。
「最近は姫様の体調は良い事を喜んでいらしたぞ」
「いや…リディア様の病気は」
あそこまで虚弱体質位なったのは人為的な物だった証明された。
長い年月をかけて虚弱体質にされ、王宮内で悪口を広めた事で精神的に追い込まれたのだろう。
心の病がここまでリディア様を苦しめてしまった。
「王宮に戻ってから姫様は、両陛下に話をされたそうですわ」
「話?」
「弱い自分を見つめなおし王女としての役目を全うしたいと…王妃陛下は特に泣きながら喜ばれまして」
あの時のリディア様はとても気丈だった。
私が傍で支える必要がない程に凛としたたたずまいで眩しかった。
「生まれながらの王女はいない」
「チャールズ?」
「どんな高貴な王族でも最初から品格を持つわけじゃないだろ」
それは当然だ。
私達騎士も同様の事が言える。
「高貴さとは生まれ持ったものではない。そうなろうと努力した事で備わるだろう。リディア様は決して弱い方ではない。恐らく公の場に出て悪意と戦われるだろう」
「ああ」
「その時お前がすべきことは一つだ」
解っている。
リディア様を支えなくてはならない。
ただ安全な場所にいていただくのではだめだ。
リディア様に必要な物はそんなものではない。
戦う為の剣となり、身を守る盾になろう。
私にできるのそれだけ、それが私にしかできない事だから。
「きっと大丈夫だ」
「ああ、姫様はテレシア様よりもある意味で大物だぜ」
きっと乗り越えられる。
あの方の未来は明るいのだと信じていた。
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