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84小さな結婚式と招かざる客
しおりを挟む入念に下準備を行い、念には念をということでウェディングドレスのダミーを用意して当日に望んだ。
今日この日を迎えることができた。
美しい花嫁が国王に手を引かれ、私の元に歩んで行く。
本来ならば王家の結婚式ではありえないのだが、王妃陛下がすべてはリディア様の望むまま。
王族式ではなく貴族式の結婚式を執り行って欲しいとの事だった。
「娘を頼んだぞ、シオン」
「はい、国王陛下…いいえ、義父上」
多くの人に見届けられこの日を無事に迎える事が出来て本当に良かった。
「お父様、ありがとうございます」
「これから幸せにな…」
どれ程の葛藤が会っただろうか。
王として父親としてリディア様を愛しながらも境遇を嘆き苦しんでいらした陛下は愛のある方だった。
「シオン様…」
「さぁ、手を」
リディア様の手を取り指輪の交換を行い、幸福な式を行う事が出来た。
海が見え、風が、空が、海が私達の結婚式を祝ってくれているようだった。
「まぁ…綺麗」
「これは素敵な余興ですわ」
何処からか花弁が待っている。
「これは百合の花?」
「ああ、この季節に」
百合の花が舞っているんだ。
祭りの季節は過ぎているのにとっても縁起が良い。
式は問題なく進み、その後私達は披露宴の元へ。
「おお、なんと豪華な船だ」
「このような大きな船に乗って披露宴とは…アスハルト家は財を築いているのか」
船で周遊しながら日が暮れれば酒を振る舞い宴となる。
水軍ギルド達が招待客を喜ばせる為に多くの余興を用意している。
夜景を楽しんでいただきその後食事が振舞われる。
「花火ですわ」
「夜景も絶景で本当に素晴らしいわ」
「船の上で披露宴か…我が帝国でも是非行いたいものだ」
他国の貴賓は披露宴の催し物に料理をとても喜んでいらした。
「まぁまぁの披露宴だろ」
「ああ、貴族派はほとんど来ていないが…お楽しみはもうすぐだぜ」
披露宴を楽しむ招待客は少し酒が入り始めた頃だった。
ガタン!
大きな物音が聞こえる。
船に衝撃を感じた。
「何ですの?」
「ようやくか」
デッキにはいる扉が乱暴に開けられ、中に入って来たのは――。
「どうなっているのよ!」
「信じられない」
赤いドレスを身に纏い、髪の毛はなんというかタコのようになっている。
化粧も崩れて塩水を被って見るに堪えない状態で現れたのはサンドラ嬢とヴィッツ伯爵と夫人だった。
一緒にゾロゾロとは言って来たのは貴族派の貴族達だった。
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