婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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106王都へ

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結婚式が終わり、しばらくゆっくりしていた私達だが休みが終われば王都に戻るのだが、社交界は新たな噂で持ちきりだった。


王都の情報はキャッチしているつもりだったが新聞で読むのと実際を耳にするのは違う。


「そろそろ船が到着するな」

「ええ」

新聞でかなり目立っていたので王都に戻る際は商人の姿をして戻る事にした。


「馬車の手配はこちらでするはずでしたのに」

「ああ…」

「あのエロ騎士が迎えに来る予定ですわ」


ニナ…ついにディアッカをそんな呼び方を。
騎士としてこれ以上の屈辱はないのだろうけど、ディアッカならば軽く流すだろうが。


「あの…馬車が近づいて来るんですが」

「ああ」

だがこちらに真っすぐ近づいて来るな。


「何かハンカチが…」

「ああ」

「窓から顔をだしてます。今まさに会いたくない男。吹いていいでしょうか」

「ダメだ」


ニナ…
何所で吹き矢を


ここ最近ニナは武器を忍ばせるようになった。
領地では別の通り名が暗器のニナとなっているのだが、いいのか。


「おーい!」


「ディアッカ先生!」

「久しぶりだなお前等」


馬車から出て来たディアッカに頭を抱える。
何でよりによってあんな目立つ馬車を用意したんだ。


王家専用の馬車。
白と金を統一させた馬車でもあるのだかが。


「私は普通の馬車を」


「ハハッ、何寝言を言っているんだ。王都内でお前の顔は知られてんだぞ」

「解っているが…」

「それにお前は王族の仲間入りだ、そんなお方を…なぁ?」

なぁ?じゃない!
目立たないように王都に来たのにこれでは悪目立ちするじゃないか。


「さぁどうぞ姫様…いいえ、アルハルト夫人」

「まぁ先生ったら」

「もう姫様と呼べませんからね?」

「お気になさらず」


ニヤニヤ笑うディアッカに深いため息をつきながら今回急遽王宮に呼び出された事が気になった。


一週間前に王妃陛下…義母上から直筆で手紙が届いたのだ。



「ディアッカ、何があったんだ」

「あ?」


馬車でくつろぐディアッカにニナは殺意をぶつける。

頼むから懐からナイフを出さないでくれ。
ジュースを飲みながらゆっくりし過ぎるんじゃない。

「おい、少し道を変えてくれ」

「はっ…はい」

「少し窓を開けるぞ」


「は?」


何で近道をしないで回り道をするんだ?
わざわざ遠回りをして王宮に向かう理由がまるで解らなかった。



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