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112仲間
この場にいる全員の視線が私に向けられる。
いやいや!
無理に決まっているだろう!
私は騎士で伯爵位を持っているだけだ。
出世はそこそこで、これまでの功績に関してはディアッカやチャールズがずば抜けている。
血筋で言えばチャールズに勝る者はない。
「何を申されて…」
「シオン、諦めろ」
「ディアッカ!」
まさか全部知っていたのか?
いいや、王妃陛下の一番の側近であるディアッカが知らないなんてことはないはずだ。
「シオンや」
「陛下」
「この度、そなたに随分と迷惑をかけた。そのあげくに王座につけとは無理を言っているのは承知しておる」
「そのような…」
「だが、そなたには十分な素質がある」
私に王の素質等あるのか?
過去の事を掘り返す気はないが私が至らなさ過ぎたためサンドラ嬢との問題が起きた。
私は被害者となっているが、両陛下にも多大なる損失を与えてしまった。
もっと上手く立ち回れば良かったと今でも思っている。
「私は形だけの王であった…うだつのあがらない王だ」
「陛下、そのような…」
確かに優柔不断な面があるかもしれない。
英雄王とは言えないが、無理に他国に戦を仕掛けるよりも手を取り合う道を探し、極力争いをさけていらした。
戦乱の世ではない現在では良き王だったと思っている。
そうでなければ政略結婚でありながらも両陛下は仲睦まじく過ごされることもなく、何より歴代の国王は愛人を侍らせていたにも関わらず陛下は愛人を一人も作られなかった。
王妃陛下が恐ろしいというのは否めないが。
「シオンよ。ここは私の顔を立ててくれんか」
「しかし…陛下!」
腕を強く掴まれ耳打ちされる。
「悪い事はいわぬ、従わないと後が恐ろしい」
「はい?」
「よく見ろ、妻と娘の表情を!断っても地の果てまで追いかけて来るぞ…あの表情は獲物を見つけた獅子だ」
「陛下…」
ガタガタと震える陛下に哀れだと思った。
とても失礼であるが、王としての威厳は完全にないな。
だがその一方で、今まで陛下は王妃陛下が怒り狂わないように接していたのだから素晴らしいだろう。
「シオン、私を助けてくれ」
「しかしですね…」
「何も今すぐに王になるわけではない。騎士団を動かす権利もある…王子の間ならば戦場に向かうこともあろう」
我が国では王太子であっても戦場に行く義務がある。
ノブレス・オブリージュを掲げているため。
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時と場合によっては王子が指揮官となることもあるのだ。
陛下は騎士である私に考慮してくださろうとしているのだった。
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