婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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113王の資質~リディアside①

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唐突な事だった。
でもいずれこうなるのではないか?という気がしていた。


だってお姉様は王位に興味がない。
国を守る事に対しては疑いようがない。

使命感もあるし、民を第一に考えていらした。
でもご自身が王になるという未来を描いていないのでは?と思う事は多々あった。


婚約者を選ぶのにも乗り気ではなく、何かと理由をつけて断っていらしたし。


「リディア様は驚かれないんですね」

「先生、私はそこまで馬鹿ではありませんわ」

「それは失礼しました」


解ってていってらっしゃるのだから質が悪いわ。
でも、そんなディアッカ先生を尊敬しているなんてニナに言えば怒られるけど。


「ディアッカ先生はずっと狙っていましたものね」

「ええ、シオンぐらい愚直な程に馬鹿な方が油断してくれますから」

「ディアッカ先生も素直ではありませんわ」


本当はシオン様が大好きなのに。
言葉に出そうとなさらない。

根っからの騎士体質である清廉潔白なシオン様では重すぎる。
だけど、周りが手助けしてくれるならどうだろうか。


王として一番必要な資質は…


「アイツは根っからの人誑しです」

「ええ…否定しません」


自覚のないのが頭が痛いわ。
結婚した後にも他の領地に視察を行くことがあるのだけどシオン様を狙う女性は老若問わずだわ。


悪意がない。

野心がない。


そう言った人に心惹かれる人は多い。
特に誰かに優しくされたことがない人や、精神的に傷ついている人。

欲まみれの世界で生きて来た人間には特に眩しく見えるのかもしれない。


「あれを野放しにするのは危険です」

「ええ」


こう言ってはなんだけど。
シオン様を利用する人間はこの先増える。
そうなる前に守るには王にするのは最適と言える。

勿論シオン様は幼子じゃない。
自分の身は自分で守るでしょうけど、限度があるの。


高位貴族と上手く立ち回る為には相応の身分が必要になる。
彼等がどれ程あくどい事をしているか私は身を持って知っているのだから。


「リディア様はお嫌ですか」

「私は…」

「シオンは潔癖症ですからね、苦労しますよ…愛人は拒否するでしょうし」

「先生…」


私はそんな心配はしていない。
シオン様が潔癖症である事を知ったのは結婚してから夫婦になった後だった。


そう、当初は草食男子と思っていたのだけど。
私限定で肉食男子になる。

だけど、他の女性が誘うような真似をすれば嫌悪感を持つ程度で一部では女性に興味がないと言われていたのだから。


こうなると王座に就くと苦労が増えるのは解りきっていた。

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