地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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第2章小さな奇跡が生んだ真実の愛

34貴族の義務






同時刻、東のドワーフの工房にて。


「ぶぇっくしょん!」


貴族令嬢としてはあるまじきくしゃみだった。
もはやおっさん並みのくしゃみをするディアナは手を動かしながら鼻水を出していた。


「お嬢。せめてそれをなんとかしろ」

「でも、手が離せないんですぅ」

「お嬢様。私が…」

「フォーカス!お前は何をしているんだ!」

「ルーカスです」


現在薬の調薬中のディアナは手が離せない。
しかしこのままでは鼻水が危険なことになると思い気を利かせるルーカスに怒鳴るジョルノは相変わらず人の名前を憶えていない。


「誰か私の悪口言っているのかな」

「今すぐ…」

「そんな暇があるなら薪を割らんか!火が足りんのだ!」


即座にディアナに悪口を言う人間を始末しに行く勢いだった。


「ルーカス。ロバの薬屋さんはこれでいいかな?」

「大変すばらしい出来栄えです」

「北の辺境地はこの国の要だもの。沢山薬を贈らないと」


せっせと手を動かし調薬するディアナにルーカスは表情こそ出さないが泣いていた。


「おい、ルー坊」

「ルーカスです」


もう一人のドワーフが油で汚れた布を差し出す。


「ほれ」


「お気持ちだけ頂戴します」

こんな汚れた布で鼻水をかんだら余計に病気になるのは確実だ。
なので丁重にお断りをしながら作業に取り掛かる。


「しかしお嬢。本当にいいのか?」

「そうだぞ。せっかく申請が通ったポーションを何で無償で届けるんだ。金を取ればいいだろ」

「ダメです。ウィステリア王国の最後の守りである方からお金は取れません」


国からの軍事資金は毎年減らされている。
悪いのは国王ではない。

貴族派の貴族や宮廷貴族達だ。
初代国王から信頼のある名門貴族ならば自身の身を削ってすべきだ。


身を差し出して国を守る素晴らしさを身をもって知らしめろというのだから。
その所為で毎年軍事資金を一番減らされ、王都からの軍の派遣もわざと遅らせているのだ。


本来ならシャンデラ伯爵家も資金援助をすべきなのだが、ディアナの父シャンデラ伯爵家もバイエル伯爵家に対して非難的だった。


その理由は何時までも軍事力を一部の貴族が握ることを難色を示しているからだ。
何より考え方の違いからシャンデラ伯爵夫人も援助を拒否しているのだから。



「今まではこっそりだったけど。もう家と縁を切ったから堂々としても平気よね!」


「ディアナ。お前、そんなことをしていたのか」

「だってバイエル伯爵家は領民に優しく良い方だと聞くし」


実際会ったことはない。
伯爵家と言えど優劣が存在し、別格の存在だ。

にも拘らず、国を守る為に資材を投げうってまで騎士を派遣し他の領地を警護しているのだから。


本来はその恩に報いるために資金援助をすべきだが、派閥や政治的理由に嫉妬が絡み援助をしていないと知った時何かできないかと思った。


最近ではバイエル伯爵家の財政を傾かせるために薬が届かないように妨害したり薬草の内を燃やしたりとしているとビアンカから聞かされた時は恐ろしくなった。


「国の為に、人の為に尽くしている人の為に支援はすべきなんです」

「お嬢様!ご立派です」


「お優しいお嬢様…」


ルクティアとルーカスは涙した。
貴族として平民に施しは義務であるがそんな義務を果たす令嬢は数えるほどだ。

義務を放棄した令嬢が多い中、ディアナは貴族を辞めると宣言した後も貴族としての義務を果たしているのだから。




「食料の備蓄食料も何とか間に合って良かった」

「レトルトという食品は素晴らしいですね」


「後は乾燥食品ドライフーズも何とか形になって良かったよ」


現在、ポーションと並行してディアナが心血を注いでいるのは永久保存食料だった。
兵糧は存在するが、栄養面はあまり期待できず飢えを防ぐ程度だった。


しかも需要は平民でも貧しい者だけだった。
貴族社会では食料の備蓄など必要ないと案件を突っぱねられている。


しかしウィステリア王国では外交内で問題があった。
それは冬に入ると食料の入出が困難であることと、他国からの輸入で数年前に問題が生じたことだった。


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