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第2章小さな奇跡が生んだ真実の愛
73会議
王宮にて緊急会議が行われていた。
中心に座るのは王女、ビアンカが沈黙を破っり言い放つ。
「ではこれらを最終決定とする。異論のある者は?」
挙手する者はいなかったので決定となるが、難色を示す大臣がちらほらいた。
「本人の強い希望によりファティマ・シャンデラを討伐に参加させる」
「しかし殿下、問題点が多すぎます」
反対はなくとも対策はどうするのかと難色を示す声は少なくなかった。
「学園での素行を考えると問題が多すぎます」
「王子妃に推薦した前任の目利きを思うと頭が痛いです」
かつて、ディアナをハイネの婚約者に望んだのに大臣の不手際でファティマが婚約者に選ばれその後この席に座る貴族達や大臣は迷惑を被った。
「今にしてみればあの娘は本当にディアナ嬢の姉ですか」
「行政大臣…」
「ディアナ嬢は淑女として未熟な点はあれど、貴族としては立派ですぞ」
貴族の義務は平民への施しだったが、その意味を理解している貴族は少ない。
ただ憐れみとしての施しではなく、援助という形での施しこそが真の意味でだったのだから。
「当時六歳のディアナ嬢は王都内の悪徳聖職者に搾取されることを考え金にならぬ品を援助しました」
「当時は穀物を小さな教会に配りましたな」
通常の小麦粉と異なり、味も舌触りも悪いとされている。
貴族出身の聖職者が口にすることはないのだが、その中でも全粒穀物ならば目につくこともなかった。
見た目の良くないので奪われることもなかった。
「当時、王都内では脚気が流行りました。しかし、ディアナ嬢の考案されたパンのおかげで被害は収まりました」
財務大臣が当時の報告書を提出し意見を述べた。
当時の事は彼も良くお覚えており、幼いながらに平民の暮らしに愁いを持つことは貴族令嬢として素晴らしいと発言をした。
「幼少期に修道院にてパン作りを学び教会の実態を把握されたと聞きますわ」
その次に発言をしたのは北方四島の女辺境伯爵だった。
「侍女を同行させ、辺境地の食糧不足にも目を向けれおられます。こちらは彼女が中等部の時に纏められた論文です」
この場にいる全員が頷く。
何故こうも姉妹同士で差があるのかと。
「ファティマ嬢の方が優れていると噂を鵜吞みにした者に意見を聞きたいものだ」
「ぐっ…それは、返す言葉もありません」
前任の大臣を思うと恨みたくなる。
常識に考えれば王家が望む貴族令嬢を勝手な判断で変えるなど論外だった。
「シャンデラ伯爵夫人はディアナ嬢に対して隠し事があるのではないか」
ビアンカはディアナを王家に嫁がせたくない理由があるのではないかと常々思っていた。
他の貴族令嬢よりも基本水準が低いと昔から嘆いていたと聞くが、ビアンカからすれば平均よりも上だとも思った。
幼少期は少しやんちゃな一面も見えたが、許容範囲内だった。
成長した後は自己主張があまりなかったが礼儀作法は問題なく、むしろ謙虚な姿が年配の貴族からは好まれていたのだから。
「シャンデラ伯爵家は何かあるはずだ。徹底的に調べる必要がある」
「承知しました。してもう一つの議題ですが」
「ああ、ファティマ嬢の監視役だが、問題ない」
魔物討伐に行くにあたり護衛騎士を一人選ばなくてはならないのだが、既に断りを入れられている状態だ。
そこに白羽の矢がある人物に立ったのだ。
「なっ…何で僕が!」
その日、学園長室にて一人の男の情けない声が響き渡った。
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