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第2章小さな奇跡が生んだ真実の愛
90オルフェの処遇
その夜、新たなランク落ちとオンブラ寮に入った生徒がいた。
「何でオルフェ様が!」
「ファティマ様…」
久しぶりの再会を果たす二人だったが最悪だった。
「まさかオルフェ様、ランク落ちしたの?最低だわ!」
「君にだけは言われたくない。何だこの汚い寮は…掃除もしてないのか?」
「何で私がそんなメイドのような真似をしないとダメなのよ!貴方がしてよ」
「はぁ?僕は君の奴隷じゃない!何様だ!」
互いに罵り合う姿は醜いとしか言いようがない。
静観してる寮母は何も言わずその場から去ろうとする。
「おい待て!本当に僕がここで生活するのか」
「はい。男子は右です。くれぐれも間違いを犯さないようにお願いします」
「間違い?」
「男子と女子は分かれていますが、私は基本この寮に寝泊まりしませんので」
「寮母だろうが!」
オルフェは寮母がメイドの役目をすると勘違いをしている。
基本、オンブラ寮の寮母は監視と管理程度だ。
同じ寮に住まうことはない。
ディアナの住まう寮には寮母がおらず、中には寮母を置かない寮もある。
「食事は」
「自炊です」
「掃除は」
「同行した使用人にお願いするか、ご自身でお願いします」
無表情で聞かれたことだけを答える寮母に苛立つが本人はオルフェの怒りなど気にも留めない。
「本日の業務は終了になりましたので失礼します」
「おい待て!」
「午後八時以降は寮から出ないように。罰則になりますので」
「は?」
そのままそそくさ寮を出て行き、扉が閉まる音とが聞こえる。
「冗談じゃな…扉が開かないぞ」
「魔力で自動的に鍵がかかるのよ。そんなことも知らないの?」
明らかに馬鹿にしたような表情のファティマにオルフェは睨みつける。
「この僕が…」
茫然と立ち尽くすオルフェを慰める者はいない。
そのまま素通りするファティマとバーバラはダイニングに向かったのだが…
「待て、僕の夕食は」
「知らないわよ」
「食料は二人分しかございません」
「はぁ!」
当然のように言われた言葉に声を荒げる。
「僕に食事を抜けと言うのか」
「だったら実家に頼んでなんとかしてもらえばいいじゃない!第一、私に頼るなんて何様よ居候の癖に」
「正直、女性に依存するのはどうかと」
ファティマだけでなくバーバラも蔑んだ目を向けながら厳しい言葉を投げかけた。
当初、新しい入寮者が来ると聞いて少し期待したのにオルフェの顔を見た瞬間冷めた目を向けたのだ。
何の役にも立たないお荷物が増えただけ。
「お父様とお母様にも連絡しても手紙の返事が来ないし。お荷物が増えるし」
「それは僕のことか!」
「他に誰がいるのよ。言っておくけど私の領域に入ったらすぐに悲鳴を上げるから」
「それはこっちのセリフだ!」
こんな状態でファティマに手を出す気など毛頭ない。
「誰がお前みたいな女!」
「この私を侮辱する気!」
既に二人の間に一ミリたりともかつての情はない。
むしろ軽蔑と憎しみしかないのだが、三日後に二人は戦場で更なる試練が待っているとは知る由もない。
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