237 / 241
第三章時を超えた想い!純白の絆が奇跡を生む!
42かくれんぼ
腐敗しきった貴族社会を変えるなんて簡単な事ではない。
けれど、今のままでは国が本当に腐ってしまうのは分かり切っていた。
「例え孤独な道でも正しい道なら必ず誰か賛同する」
「ハイネ様」
「元よりハミダシモノの俺だからな」
王族であって距離があるハイネだからこそできることがある。
ビアンカも、アルフレッドも王族の縛りから逃げることはできない。
変えたくても変えられないのは柵が多すぎるから。
その一方でハイネは王族と言えど、二人のような柵がないからこそ動ける。
「皮肉だが、俺は貴族が嫌う混血だからな」
「純血の貴族なんてほぼいないのにおかしな話です。血筋が良くても汚れた行為をする者が多いです」
「ははっ…そうか」
「はい」
ディアナの言葉に吹き出しながら笑うハイネは心から笑った。
(好きだった…)
屈託なく笑い、悪い事は悪いと言えるディアナを。
幼き頃の恋心は確かにあったが、ハイネではディアナをより良い道に進ませることはできない。
けれど、本当の意味でディアナの行きたい道を歩ませることができる男がいる。
同じような環境で苦しみながらもがき続ける友人を思い出す。
「ディアナ、君はシリルが好きか」
ハイネはただ素直に聞いた。
色恋に鈍いディアナに遠回しな言い方をしても本人は気づかない。
異性として好きかどうか聞くべきだがあえて好きか嫌いか問うた。
「はい」
「そうか」
その好きがの好意が人としてだとしても、それ以上の感情がある。
友人以上の好意を持つ者だとなんとなく察していた。
「シリルは少し生真面目で融通が利かない。君怒ってばかりだ」
「でも…私は…」
もじもじするディアナにハイネは首をかしげる。
(この反応は)
「副会長に怒られるの…嫌じゃないんです」
「そうなのか?」
「はい。怒られないとなんか変な気分というか…私、そういう趣味があるんでしょうか?」
まっすぐな目で聞かれたハイネが眩暈を感じた。
(重症だ。これはまずいな)
ディアナがシリルを慕っているのは分かっていた。
毎日顔を合わせれば開口一番に怒られるのに、嬉しそうに駆け寄るのだから。
「さっきも副会長は怒りながらなんか変で…」
「そうか」
(もう付き合っちゃえよ…)
少しイラっとしたハイネである。
無自覚な二人はどう見ても両片思いではないか?と思ってしまう。
だから葉っぱをかけることにした。
「ディアナ、シリルの事を知りたくないか?」
「え?」
「何で様子がおかしいか知りたくないか?」
「知りたいです!」
基本素直なディアナにハイネはある作戦を企てた。
「なら今から少しかくれんぼをしよう」
「かくれんぼ?」
「ああ、この部屋から生徒会室に繋がる隠し通路があるんだ」
「楽しそうですね」
乗り気なディアナに内心で笑みを浮かべる。
「通路から出てすぐに本棚から出られるようになっているが、合図するまで出ないでくれ」
「はい」
「絶対だからな」
「約束は守ります」
「そうか」
安心した笑みを浮かべるハイネが後々とんでもないだまし討ちをするなんて知る由もないディアナは後に後悔した。
「私は女性としてディアナ・シャンデラを好いています」
とんでもない暴露を聞かされたのだから。
あなたにおすすめの小説
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
【完結】あなたに従う必要がないのに、命令なんて聞くわけないでしょう。当然でしょう?
チカフジ ユキ
恋愛
伯爵令嬢のアメルは、公爵令嬢である従姉のリディアに使用人のように扱われていた。
そんなアメルは、様々な理由から十五の頃に海を挟んだ大国アーバント帝国へ留学する。
約一年後、リディアから離れ友人にも恵まれ日々を暮らしていたそこに、従姉が留学してくると知る。
しかし、アメルは以前とは違いリディアに対して毅然と立ち向かう。
もう、リディアに従う必要がどこにもなかったから。
リディアは知らなかった。
自分の立場が自国でどうなっているのかを。
『婚約者を大好きな自分』を演じてきた侯爵令嬢、自立しろと言われたので、好き勝手に生きていくことにしました
皇 翼
恋愛
「リーシャ、君も俺にかまってばかりいないで、自分の趣味でも見つけて自立したらどうだ?正直、こうやって話しかけられるのはその――やめて欲しいんだ……周りの目もあるし、君なら分かるだろう?」
頭を急に鈍器で殴られたような感覚に陥る一言だった。
彼がチラリと見るのは周囲。2学年上の彼の教室の前であったというのが間違いだったのかもしれない。
この一言で彼女の人生は一変した――。
******
※タイトル少し変えました。
・暫く書いていなかったらかなり文体が変わってしまったので、書き直ししています。
・トラブル回避のため、完結まで感想欄は開きません。
余命半年の私は、あなたの愛など要りませんので離縁します
なつめ
恋愛
公爵家に嫁いで三年。
夫アレクシスは義務だけを果たす、冷たい人だった。
愛のない結婚だとわかっていたから、主人公エレノアも期待しないふりをして生きてきた。
けれどある日、彼女は余命半年を宣告される。
原因は長年蓄積した病と、心身を削る公爵家での生活。
残された時間が半年しかないのなら、もう誰にも気を遣わず、自分のために生きたい。そう決意したエレノアは、夫へ静かに告げる。
「あなたの愛など要りませんので、離縁してください」
最初はそれを淡々と受け止めたはずの夫は、彼女が本当に去ろうとした時に初めて、自分が妻を深く愛していたことを知る。
だが気づくのが遅すぎた。
彼女の命は、もう長くない。
遅すぎた愛にすがる夫と、最後まで自分の尊厳を守ろうとする妻。
離縁、後悔、すれ違い、余命。
泣けて苦しくて、それでも最後まで追いたくなる後悔系・溺愛逆転ロマンス。
今さら救いの手とかいらないのですが……
カレイ
恋愛
侯爵令嬢オデットは学園の嫌われ者である。
それもこれも、子爵令嬢シェリーシアに罪をなすりつけられ、公衆の面前で婚約破棄を突きつけられたせい。
オデットは信じてくれる友人のお陰で、揶揄されながらもそれなりに楽しい生活を送っていたが……
「そろそろ許してあげても良いですっ」
「あ、結構です」
伸ばされた手をオデットは払い除ける。
許さなくて良いので金輪際関わってこないで下さいと付け加えて。
※全19話の短編です。
地味で器量の悪い公爵令嬢は政略結婚を拒んでいたのだが
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
心優しいエヴァンズ公爵家の長女アマーリエは自ら王太子との婚約を辞退した。幼馴染でもある王太子の「ブスの癖に図々しく何時までも婚約者の座にいるんじゃない、絶世の美女である妹に婚約者の座を譲れ」という雄弁な視線に耐えられなかったのだ。それにアマーリエにも自覚があった。自分が社交界で悪口陰口を言われるほどブスであることを。だから王太子との婚約を辞退してからは、壁の花に徹していた。エヴァンズ公爵家てもつながりが欲しい貴族家からの政略結婚の申し込みも断り続けていた。このまま静かに領地に籠って暮らしていこうと思っていた。それなのに、常勝無敗、騎士の中の騎士と称えられる王弟で大将軍でもあるアラステアから結婚を申し込まれたのだ。
『彼を解放して!』とおっしゃいましたが、何から解放されたいのですか?
シエル
恋愛
「彼を解放してください!」
友人たちと教室に戻ろうとしていると、突如、知らない令嬢に呼び止められました。
「どなたかしら?」
なぜ、先ほどから私が問いかける度に驚いているのでしょう?
まるで「え!?私のこと知らないの!?」と言わんばかりですけれど、知りませんよ?
どうやら、『彼』とは私の婚約者のことのようです。
「解放して」とおっしゃっいましたが、私の目には何かに囚われているようには見えないのですが?
※ 中世ヨーロッパモデルの架空の世界
※ ご都合主義です。
※ 誤字、脱字、文章がおかしい箇所は気付いた際に修正しております。