地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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第三章時を超えた想い!純白の絆が奇跡を生む!

50グリモワールの光





遠回りをした先で見つけた恋の欠片。
慣れない手つきであるが、抱きしめられた手は優しかった。


(そっか…この手が欲しかったんだ)


こんなに風に優しく手を握り、抱きしめて欲しかった。
前世アルティシアの頃は心を凍らせて生きて来たし、唯一の支えがあった。


でも本当は愛し愛されることを願っていた。
環境がそれを許さなかっただけで、本当は欲していた事に気づく。


(冷たいのに温かい)


胸の奥に凍っていたものが解けていく感じがするディアナはそっと目を閉じる。


ドクン!


胸の鼓動と同時に光が灯る。

「えっ…」


ディアナの足元が光、魔方陣が浮かび上がる。


「これは魔方陣?」

「何で…」


意図していないのに魔方陣が浮かび、グリモワールが出現する。


「これは、新しい魔術」


グリモワールの形状が少し変わり、勝手に見開かれる。


「新しい魔術式」


「これは伝説の魔術書か!」



――魔術書グリモワール
魔法が存在する国では限られた者しか所有できない。

ダンジョン攻略でも手に入れることはできるが、地味で使えないものも多い。


ただエルフが所有するグリモワールは別だった。
転移、召喚、治癒等が可能である。

その中でも女神が作り出したグリモワールが存在する。
そのグリモワールは特殊で紋章と、精霊の紋章が刻まれている。


そしてもう一つは、持ち主以外には読み事が出来ないとされているのだ。

別名聖なる魔導書。


――聖書とも呼ばれている。


「何故お前が聖書を持っているんだ」

「は?聖書…」

ウィステリア王国の魔術書の上をいくのが魔導書でありその最高峰の魔導書が聖なる魔導書なのだが、そのことを知るのは国の一部の人間だけだった。


「いや、そんなたいそうな物では」

「たいそうな物だ!」


ディアナにとっては前世の頃から持つ古びた魔導書に過ぎないが、ウィステリア王国ではグリモワールを持てるのは片手で数えるほどだ。


現在はグリモワールを持つ者はいないのだ。


「グリモワールを手にする意味を分かっているのか」


まさかグリモワールがこんなにも貴重だったとは思わなかった。
前世では人間はグリモワールの存在を知る者は少なかった。

魔法の存在自体が非公式だった。
存在してもありがたがるようなものではなく不吉な本ともされていたから。


「そもそもお前はグリモワールを持ちながら魔法を使えないのは妙だ」

「え?」

「グリモワールを持つだけで相当な魔力があるはずだ」

「あーそれは…」


単なる魔力量だけで言えば魔力はある方だが、魔法や魔術にできる程の魔力となれば別なのだ。


しかしその事実をディアナは知らない。
本人は無自覚なのだが、シリルは以前からディアナの非凡な才に気づいていた。


「ディアナ。お前はいい加減自覚しろ」

「はい?」

「お前の天才肌だ。これまで搾取され才能を潰されただけだ」


自身は無能だと思い込んでいるディアナに再度告げる。
ディアナの才は努力でどうこうできるものではないが、天才だったとしても高めることはできない。

両方が備わっていたからこそ、ここまで錬金術を高めることができたのではないか。


「彼の偉大なる大錬金術師は天才と言われながらも長い年月、すべてをかけて研究に充てた。血のにじむような努力の成果だ」

「シリル様…」


「世に言う天才は努力なしに成果を上げられると言うならそれは馬鹿のいうことだ」


確かに一般の人間よりも早い段階で功績を見せられるだろう。
だが楽をしているわけではない。

誰よりも早い段階で道を見つけ、その道に進めるように努力しているからだ。


「お前は天才と努力の双方を行っているんだ」





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