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第三章時を超えた想い!純白の絆が奇跡を生む!
68奇跡の裏側で
時は遡ること数時間前のこと。
風の魔力を使って空から船でバイエル領地に向かった一行は、慣れない空旅に奮闘していた。
「わぁぁぁ!早すぎる!」
船が恐ろしい速さで移動し、乗客は柱にしがみつくので精いっぱいだった。
「魔力のコントロールをせんか!」
「風の魔力ってどうやってコントロールしたら」
今まではここまで強大な魔力を持ってなかったので調整がむずかしかった。
「この速さなら一時間程度でバイエルに到着するんじゃない?」
「到着はいいけど…どうやって止まるのよ」
マリーの問いかけにユーリが答えた。
「そもそも高速スピードで何処に着地するんだ」
「ハイネ様、それ以前にこのままでは邪竜とぶつかるのでは?」
「ああ…とにかく速度を」
止められなくとも速度だけを落とせばよいと思ったが、急に魔力量を間違えた結果。
船が傾いた。
「ちょっと!船が落ちているわよ」
「ディアナちゃん!ダメよ!」
「あれ?」
「お嬢様ぁぁぁ!」
調整が難しかったのか魔力量を一度に減らした所為で船はバランスを崩して下に落ちる。
なんとかバランスを保つためにギリギリの高さで飛んだのだが、途中でワイバーンの悲鳴が聞こえ、血が迸るのが見えた。
「ねぇ…血が」
「見ない方がいわ。ワイバーンの首なんてグロテスクだもの」
「ああ…」
真っ青な表情になるマリーだったが、こんなのは序の口だった。
バイエル領地の渓谷にワイバーンの群れが集まっている光景が目に見える。
「このままだと着地難しいですよね」
「ああ…どうする気だ」
ハイネに問うたディアナは、霧で包まれている渓谷に船を止めて姿を隠したいがどうにも邪魔な魔物が多い。
しかも霧がどす黒いのだ。
「えっと、とりあえず風の魔力で邪気を切り刻んで」
「吹き飛ばすと言わんか!」
言い回しが生々しいと感じ、シリルが訂正をしながらその場で作戦を立てる。
「ここは大賢者と縁が強い領地だ。ならば利用してはどうだろうか」
「セフィーナ?」
「下手に身を隠すよりも少し姿を見せた方が自然だろ?」
後方支援で少しと思ったが、どの道この船を隠すのは難しいので即興で演出をすることになった。
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