33 / 311
第一章
22.伯爵家の救世主~ユアンside
セバスチャンの手紙を受け取り船で帰るのではなく転移魔法を使って急ぎ邸に戻ると。
「サブリナ!」
「あら貴方?お早いお帰りでしたのね」
「大丈夫なのか…いや、顔色が」
火急で届いた手紙は半信半疑だったが、邸を出た時よりも顔色も良くなり少しふっくらしていた。
元から痩せすぎて、食事も取れなくなってやつれていたのだが。
元の体系に戻ったと言っても過言ではないなかった。
「はぁー、いい汗かいた」
「お嬢様、ですから…旦那様!」
玄関から現れたのは作業服を着たエリーゼ嬢だった。
「へ?伯爵様…わぁぁぁ!」
急いで頭にかぶっていた布を取り慌てる。
「ずっ…随分お早いお帰りで」
「ああ、ただいま。随分変わった格好をしているんだね」
「申し訳ありません」
ガンガン!!
必死で謝り頭を床にぶつけるエリーゼ嬢に私は急いで頭を上げさせようとするも。
「エリーゼ様、見たください。沢山採れましたよ」
「シルビア…」
「お父様!こっ…これは」
籠に沢山の草を入れて笑顔のシルビアに驚く。
汗をかいて、結構も良く、まるで元気そのもので日焼けを少していて驚いた。
「ラン…まずいわよね」
「ええ、おもいっきり。ですからやり過ぎですと言ったのです。シルビア様に薬草摘み手伝いをしていただくなんて」
あの内向的で部屋から出ないシルビアが薬草摘み?
「でもシルビアの風の魔力なら植物の探知もできやすいし…便利だし」
「ですから魔力をそんな風に使うのではありません」
「でも、風の魔法って便利よね。魔石無しで邸が涼しいから一年中風通しが良いのよ」
風の魔法が便利?
四大要素の中ではあまり重要視されてなかったというのに。
しかもシルビアの魔力は好まれないと言うのに、エリーゼ嬢はその魔力を好いてくれていたのか。
「おっ…お父様、どうかエリーゼ様を叱らないでください。私がお手伝いをしたいと言ったんです」
「貴方、エリーゼ様は私の病を治す為に薬草を採取したり部屋の換気をするためにシルビアの魔力を使っただけなのです。シルビアの魔力は人の命を救える素晴らしいものだと言ってくださいましたのよ」
「そうなのか…」
幼い頃力を暴走させて以来、化け物と言われ続け。
見た目の所為で疫病神と言われ続け傷つき続けたシルビアをエリーゼ嬢は変えてくれた。
サブリナの病を治すべく、奔走してくれたとセバスチャンの手紙にも書いてあった。
もし事実ならば…
「エリーゼ嬢」
「はい!」
ビクつくエリーゼ嬢に私は膝をついた。
「感謝する。君の心遣いに心から…君をロミオの妻に迎えて本当に良かった」
「はい?」
彼女は我が伯爵家の女神だ。
病魔に苦しむ妻を救い、疫病神だと傷つけられた娘を救ってくれたのだ。
何が役立たずな物か。
誰が落第令嬢だ。
これ程優れ、素晴らしい令嬢を魔力や加護がないだけで蔑ろにするなど馬鹿がする事だ。
エリーゼ嬢はこれ程にまで素晴らしい宝を持っていると言うのに。
気づかない者達は馬鹿だ。
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
いいえ、望んでいません
わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」
結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。
だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。
なぜなら彼女は―――
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
「離縁状の印が乾く前に、王太子殿下から花束が届きました」〜五年間「置物」と呼ばれた侯爵夫人、夫が青ざめるのは王家との縁が切れてからでした〜
まさき
恋愛
侯爵夫人として過ごした五年間、夫に名前を呼ばれたことが一度もなかった。
愛人を夜会に連れてきた翌朝、私は離縁状を置いて屋敷を出た。
夫は「すぐ戻る」と思っていたらしい。
でも届いたのは、王太子殿下からの白薔薇だった。
「五年、待ちすぎました。今度こそ私の隣に」
幼馴染の殿下は、いつも私を「アメリア」と呼んでくれた。
ただそれだけで、五年分の何かが、ほどけていった。
夫が全てを失うのはこれからの話。
私が本当の笑顔を取り戻すのも、これからの話。