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第一章
36.伯爵家の敵~ロミオside②
父さんも違和感を感じていたが証拠がないので手出しができなかったのだろう。
だからこそ様子を見ていたが、今日の晩餐の前に俺は事前に伝えたんだ。
「父さん、このところベッキーのエリーゼに対する態度は目に余ります。本人は平気だと言いますが」
「私もやり過ぎだと何度も注意したんだが、一向に改善の兆しがない。私は彼女に少し疑いを持っている」
やっぱり父さんも不審に思っていたんだ。
「長らく仕えてくれていたと言えど、エリーゼはお前の妻になる女性だ。これ以上は見過ごせない」
「父さん」
「すまなかった」
ベッキーはずる賢い女だった。
父さんにも解らないように上手く取り繕っていたのだろうけど、見くびり過ぎたようだな。
病気で弱り切った母さんを思うがあまり、精神的に参っていた父さんは判断力が少し鈍っていたのかもしれない。
それだけ母さんが大好きなんだ。
その母さんを、そしてエリーゼを傷つけた罪は重い。
だから許すわけには行かない。
エリーゼが父さんと母さんからベッキーを引き離し、シルビアを守るべく身代わりになってくれた気持ちはありがたいが、嬉しくない。
その為に君が傷つくなんて許せないんだ。
「誤解です私はそんなこと!」
「私は君を信頼していた。だからこそ今回の事は故意的なモノではなく事故か、外部の人間だと決めつけていたのだがね…君が私のいない所でサブリナを追い詰めていた事はもう知っている」
「え…」
「君の部屋からこれが出て来たよ」
父さんは懐から出したのは白い粉だった。
「これはカドレアンの花を乾燥させ粉末にしたものだ。少量ならば良いが、塩分を摂取する物だ。病人や子供が摂取すれば体に負担がかかる。何故こんなものがあるんだ」
「それは…私が飲むのに」
「この薬の出所も既に抑えてある。君が私の愛する妻を殺そうとしていたなんて信じたくなかったよ。君を友として信頼していたんだ…しかしエリーゼが君を疑っていた」
父さんはエリーゼを盲目に信頼していないがエリーゼが意味もなく他人を傷つけ疑ったりしない。
「旦那様は赤の他人を信用するのですか…こんん社交界の爪はじきの傷物令嬢を!」
「何…」
「いくら公爵令嬢と言えど、陛下に命じられたからと妹君の代用品で何の役にも立たないこんな使えない…」
この女、よくもぬけぬけと!
「いい加減になさい」
パァン!
その時、母さんが立ち上がり手を上げた。
「何を…」
「黙って聞いてれば、貴女は何様なのかしら?家が没落寸前で私も気の毒に思いましたが、貴女は貴族の女主人としても人としても侍女としても器がないわ。エリーゼは我が伯爵に望まれたのです。私はエリーゼを最初からロミオの妻に望んでいたのです」
「何を馬鹿な…」
「馬鹿はどっちだ。君はあくまで使用人だ。伯爵家の事に口を出すとは身の程を弁えないとは…君のような侍女は必要ない。セバスチャン、すぐに警備隊に連絡を」
「旦那様!」
エリーゼを侮辱することは許されない。
父さんにとって母さんは命よりも大切な宝だった。
その宝を守ったエリーゼに恩を感じているのだから、目の前で侮辱するなんて馬鹿のする事だ。
「旦那様、差し出がましいとおもいましたが、既に呼んであります」
「ラン!貴女!」
「馴れ馴れしく名前で呼ばないでください。汚らわしい」
「なっ!」
氷のように冷たい目で睨むランは何時も以上に迫力があった。
だからこそ様子を見ていたが、今日の晩餐の前に俺は事前に伝えたんだ。
「父さん、このところベッキーのエリーゼに対する態度は目に余ります。本人は平気だと言いますが」
「私もやり過ぎだと何度も注意したんだが、一向に改善の兆しがない。私は彼女に少し疑いを持っている」
やっぱり父さんも不審に思っていたんだ。
「長らく仕えてくれていたと言えど、エリーゼはお前の妻になる女性だ。これ以上は見過ごせない」
「父さん」
「すまなかった」
ベッキーはずる賢い女だった。
父さんにも解らないように上手く取り繕っていたのだろうけど、見くびり過ぎたようだな。
病気で弱り切った母さんを思うがあまり、精神的に参っていた父さんは判断力が少し鈍っていたのかもしれない。
それだけ母さんが大好きなんだ。
その母さんを、そしてエリーゼを傷つけた罪は重い。
だから許すわけには行かない。
エリーゼが父さんと母さんからベッキーを引き離し、シルビアを守るべく身代わりになってくれた気持ちはありがたいが、嬉しくない。
その為に君が傷つくなんて許せないんだ。
「誤解です私はそんなこと!」
「私は君を信頼していた。だからこそ今回の事は故意的なモノではなく事故か、外部の人間だと決めつけていたのだがね…君が私のいない所でサブリナを追い詰めていた事はもう知っている」
「え…」
「君の部屋からこれが出て来たよ」
父さんは懐から出したのは白い粉だった。
「これはカドレアンの花を乾燥させ粉末にしたものだ。少量ならば良いが、塩分を摂取する物だ。病人や子供が摂取すれば体に負担がかかる。何故こんなものがあるんだ」
「それは…私が飲むのに」
「この薬の出所も既に抑えてある。君が私の愛する妻を殺そうとしていたなんて信じたくなかったよ。君を友として信頼していたんだ…しかしエリーゼが君を疑っていた」
父さんはエリーゼを盲目に信頼していないがエリーゼが意味もなく他人を傷つけ疑ったりしない。
「旦那様は赤の他人を信用するのですか…こんん社交界の爪はじきの傷物令嬢を!」
「何…」
「いくら公爵令嬢と言えど、陛下に命じられたからと妹君の代用品で何の役にも立たないこんな使えない…」
この女、よくもぬけぬけと!
「いい加減になさい」
パァン!
その時、母さんが立ち上がり手を上げた。
「何を…」
「黙って聞いてれば、貴女は何様なのかしら?家が没落寸前で私も気の毒に思いましたが、貴女は貴族の女主人としても人としても侍女としても器がないわ。エリーゼは我が伯爵に望まれたのです。私はエリーゼを最初からロミオの妻に望んでいたのです」
「何を馬鹿な…」
「馬鹿はどっちだ。君はあくまで使用人だ。伯爵家の事に口を出すとは身の程を弁えないとは…君のような侍女は必要ない。セバスチャン、すぐに警備隊に連絡を」
「旦那様!」
エリーゼを侮辱することは許されない。
父さんにとって母さんは命よりも大切な宝だった。
その宝を守ったエリーゼに恩を感じているのだから、目の前で侮辱するなんて馬鹿のする事だ。
「旦那様、差し出がましいとおもいましたが、既に呼んであります」
「ラン!貴女!」
「馴れ馴れしく名前で呼ばないでください。汚らわしい」
「なっ!」
氷のように冷たい目で睨むランは何時も以上に迫力があった。
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