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第二章
18.本家悪役令嬢
スコットの鬼のような特訓により、なんとか小テストや抜実力テストは平均点を取れるようになった。
「やったわ…平均点!」
「おめでとうございます。エリーゼ様」
「本当に良く頑張られましたね」
クラスメイトからは涙を浮かべられてしまった。
何故に!
私のクラスは比較的穏やかな令嬢や令息が多かった。
その所為なのか、私の成績が余りよろしくなくても責めることはないのが幸いだった。
しかし中では私を良く思わない令嬢もいるのだ。
「フンっ、この程度の問題も解けないなんて努力が足りないのではなくて?」
「なっ…エカテリーナ様!」
同じクラスで、ロベルト殿下の従妹にあたるエカテリーナ・クライア公爵令嬢。
王族派筆頭であり、家同士は険悪ではない。
ただ気位の高さがあり、高位貴族の代表でもあるのだ。
私とは反対に美貌、魔力、立ち振る舞いは月とスッポンであり。
しかも、第三王子、ロナウド殿下の婚約者でもあるのだ。
悪役令嬢筆頭であるのだが、彼女は脇役の悪役令嬢とは異なりヒロインの良きライバルとして登場する。
その華々しさは見事な物で、陰湿な嫌がらせは全くしない。
ヒロインの振る舞いこそ注意はするが、生徒の代表として振る舞い、尚且つ第三王子と懇意な仲になっても冷静であり、最後はヒロインを認め、後ろ盾にまでなると言う程潔さを見せつけたのだ。
エリーゼとは偉い違いだ。
ちなみに彼女は苛めをした容疑は一切かからなかった。
ある意味影の主人公と言うべきか。
ちなみに別ルートでエカテリーナとサーシャの友情エンドも存在するのだ。
本当に私がいる理由あるのかしら?
「何ですの?」
「いいえ、今日も麗しいですね」
「は?」
何処からどう見ても正統派主人公じゃない?
悪役令嬢らしい髪型であるが、ここまで似合う人はいない。
「申し訳ありません」
「あっ…貴女!プライドがないの!軽々しく頭を下げないでください!見っとも無いですわね」
「はい、色々と心もたなく」
「もう結構ですわ!」
謝れば怒るけど、私にどうしろと言うのか。
でも、幼少期の頃から彼女に怒られていた気がする。
何もなくても睨まれ、他の令嬢に嫌味を言われていても怒られ。
マリアンヌに馬鹿にされても怒られ。
「エリーゼ様!」
「ジュリア様?」
「大丈夫ですか」
エカテリーナ様が去った後に入れ違いに教室に入って来たジュリア様が私に駆け寄って来た。
「また酷いことを言われたのではありませんか?」
「お義姉様!」
その後ろにはシルビアも一緒だった。
うんうん、この二人は日に日に過保護度が酷くなっているな。
「お二人共、またエカテリーナ様が酷いことを」
「そうですわ。人間だれしも得手不得手はあるのに…あんな嫌味を」
私の傍にいてくれたクラスメイトは事情を説明するも、少し大げさな気がする。
「正論ですよ。私が色々心もたないのは事実ですし」
「だからと言って、人前で酷すぎますわ」
「彼女はご自分にも他人にも厳しい人だから」
私は彼女を嫌っていない。
むしろ、好感を持っているのだ。
王族の一員として常に気を張って、美しい振る舞いを心掛けている。
元から優秀な方であるが、それに見合う努力をしているのではないかと思うし。
誰に対しても厳しいのだ。
「淑女の鑑として相応しいと思いますよ」
お世辞でも僻みでもなく本心だった。
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