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間章
3.妹
乱暴に扉を開き入って来た人物はマリアンヌだった。
「お姉様、帰っていたの?」
「マリアンヌ…」
私を見て、徐に顔を顰める。
「失礼ですよ!」
「ハイネは黙ってなさい!」
私を庇おうと前に出るハイネだったがマリアンヌは私の前に出る。
とにかく、この場をなんとかしないと。
雰囲気が悪くなるし、それに久しぶりなのだし挨拶をしないと。
「久しぶり…」
「ついに学園からも追い出されたのかしら?逃げ帰って来るなんてなんて見っとも無いの」
「は?」
私を見るなり、冷たい視線で見下す。
以前よりも私に対する視線が厳しい物になる。
「しかもなんですの?新しい使用人を召し抱えたのかしら?随分と品のなさそうな方…しかもこんな子供で平民だなんて、使い物にもならないわ」
「マリアンヌ、何を言っているの?彼等は私の学友よ…今は長期の休みで」
「まぁ、学園に真面な友人も作れなくてこんなのを取り巻きにしていたの?」
「取り巻きって…違うわ。彼等は私の大事な友人で」
始めてできた友達なのに。
マリアンヌはどうしてこんな事を言うの?
「貴族が平民と友達になれるはずがないわ。だって平民なんて私達と同じ人間じゃないわ」
「マリアンヌ…これ以上私の友人を侮辱しないで。私が気に入らないのは解るけど…私の友人に」
離れていた間にマリアンヌの性格が歪んでいる。
以前はここまで高圧的ではなかった気がするのに何故?
「社交界にも出られないお姉様が私に指図しないで、出来損ないの癖に」
「マリアンヌ!」
「その上学園から追い出されて、学園で来た友達を連れて来た?私は修道院で行儀見習いとして学んでいたのに、遊んでいたんて、なんて恥知らずな…」
「恥知らずなのはどっちだ。汚い口を閉じたらどうだ」
私を責め続けるマリアンヌの前に立ちはだかるロミオ様が睨みつける。
「ロミオ様?」
「は?ロミオ様?」
私がロミオ様の名前を呼ぶと驚いた表情をする。
何故そこで驚く必要があるのだろうか?違和感を感じながる。
「性格が更に歪んだな…実の姉をここまで悪しざまに扱うとは」
私の戸惑いを他所に何故ここにいるのだと尋ねるも婚約者なのだから不思議ではないのに何故驚くのだろうか。
「どうして…ロミオ様が」
「私もいるのだがな」
「ロベルト様!まぁ、ようこそおいでくださいました。申し訳ありません…姉が無礼を」
切り替えが早すぎる!
さっきまで散々私に悪態をついて、この変わりようって。
「無礼なのは君だろう?勝手に部屋に押し入り、マナーの欠片もないな」
「え?」
「ロベルト、何だ?これは」
隣にいるスザンヌ様はマリアンヌに扇を突きつけて問うた。
「さっきからギャーギャーと発情した鶏か?気品の欠片もなく、礼儀の欠片もない…しかもなんて品の無いドレスだ。体系と見合ってないな」
さらりと悪びれもなくスザンヌ様が告げた言葉にマリアンヌは絶句し、老いかぶせるようにジュリア様がドレスを見てありえないと口にした。
「コルセットが体にあってませんわ…いくら胸がないとはいえ」
そして挙句の果てに。
「なんか臭い、肥溜めのような臭いがするぞ。マリアンヌ嬢…離れてくれ」
リオネル様の言葉はあまりにもえげつなかった。
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