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第三章
13.正反対故に~エカテリーナside
入学式を終えてから噂は耳にしていた。
「まったくあんなのが公爵令嬢だなんて」
「本当に恥ずかしいですわ」
彼女、エリーゼ・トリアノンが平民の少女と懇意になっている事。
そして平民でありながらも優秀な成績を収めるスコット・ルッツとも親しくしている噂。
とは言え、男女の関係ではなく勉強を見て貰っているそうだ。
通常ならはしたない行為になるのだけど彼女はちゃんと解っているのか二人きりになる場所は選んでいるので、不穏な噂ではない。
いいえ、本人は自覚が無いわね。
それを思うと頭が痛くなるけど、周りはとにかく私と彼女を競わせ、尚且つ私にお世辞を言って彼女は公爵令嬢として失格だとか、貴族の恥だと言う。
解っているのかしら?
彼女は魔力が低い中でも実力で入り、成績を伸ばしている事を。
独立するべく動いている事。
そして王族も一目置く光の魔族を持つ少女を守った事は賛美されてもおかしくない。
彼女の魔力は諸刃の剣。
使い道によっては国一つ滅ぼしてもおかしくない危険な力だと言う事を。
その彼女を守り安定させることは至難の業なのに。
無自覚にそれをやってのけ、決して恩を着せることがない行為が学園側から賛美された。
魔力が高くない生徒がどれ程劣等感を抱いているか。
そんな彼等にとって高位貴族令嬢でありながら魔力が低い事で肩身の狭い思いをする彼女は評価されれば立場はひっくり返る。
このまま大人しく引き下がるとは思えない。
その予想は的中した。
グループ研究として領地開拓や、現在国で使われている食器を新しくするべく提案した案件。
高齢者が使いやすいスプーンやフォーク。
見た目は斬新であるが法理的で使いやすく、同盟国の王族の方から評価されたと聞かされる。
これが国と国を結ぶための貿易だわ。
それをやってのけた彼女はやはり才能がある。
無限の可能性が眠っている。
私はようやく動いたのだと思った。
今回の昇格だって私は納得していた。
でも、本人は訳が解らないと言うので、呆れてしまった。
自分の才能に全く無頓着で、他人の為ならどれだけの力を発揮できると思っているのか。
派閥関係なく国のトップを誑し込む才能を持つ彼女は間違いなく国にとっても重要な立場になる。
なのに何時まで経っても自覚が無い。
「エカテリーナ様、ありがとうございます」
「何ですの?」
敵対する私に無防備にお礼を言うなんて馬鹿ではなくて?
「着替えとお薬まで…」
「そう言いながら飲んでませんわね?」
「その…苦いので勇気を出すのに…」
子供じゃないのよ!
私はこんなお馬鹿と将来協力しなくてはならないと思うと頭が痛いわ。
「砂糖を入れたら苦みがマシになったり」
「蜂蜜を入れればいいでしょ!本当に貴女は私をイラつかせる天才ね」
「え、そんな…」
「褒めてませんわ!」
何処までもポジティブ思考な彼女を怒鳴るも何故か嬉しそうにしていた。
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