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第四章
12サロンでの告白②
「開けてくれ」
珍しく急かされ、私はリボンを解くと。
「わぁ、なんて素敵な箱」
私の大好きなアンティークだった。
箱の周りは素晴らしい細工がされて触れるだけ、解る。
「中を開けてくれ」
「はい…」
箱には鏡がついており、鏡の下が動くようになっている。
「ネックレス?」
「ああ」
そっとネックレスを手に取り、ロミオ様は私の首にかけてくれた。
「我が、スティアート家では妻に迎える女性に贈るんだ。本来は三つの装飾品なんだが」
「三つ?」
「正式にはネックレス、イヤリング、ブレスレットだ」
箱にはサンセットが飾られるようになっている。
「俺との結婚式にはこのすべてを身に着けて欲しい。父が母に求婚したように」
「えっ?」
いや、これって。
「君に俺から正式にプロポーズをしたい。ちゃんとした形で」
「ろっ…ロミオさ」
鈍い私でも解る。
ロミオ様は冗談でこんなことをしない。
「愛している」
「まっ…」
距離が近くなり、私は戸惑いどうしていいか解らずにいた私はこの後どうなるかなんて予測できなかった。
口を塞がれるようにキスをされた後に言葉を放ったのは。
「ロミオ様…どうして」
「君を愛しているからに決まっているだろう」
「あっ…あああ!愛!」
なんて恥ずかしい事を。
恥ずかしい事をされ後に言われ私は頭の中が蒸発する寸前だった。
「今までずっと態度に見せてきたつもりだが、君には一般的なやり方が通じない。よくわかったよ」
「失礼ですね!」
「ああ、なりふり構うのは止めた」
理性的なロミオ様らしくない発言だった。
いや、そうじゃない。
私は何故ロミオ様にキスをされてしまったんだ!
「サーシャは?」
「ここで他の女性の名前を出すのか?普通…」
「だって、サーシャと思い合っているんじゃ」
だって恋愛フラグが立っていたんじゃないの?
他の攻略対象とはどう考えても距離が遠すぎて好感度があるとは思えない。
「何所でどうしたら勘違いするんだ」
「だって、何時も熱い視線で見ていたし。夏休みの時も」
「俺が見ていたのは君だ。彼女は俺のライバルではあるが」
「はぁ?」
ライバルってなんのこと!
「やはり俺は少々感情を表に出すのが苦手だった事が問題だったか」
「いいえ、どうではなくて」
私からすれば常に口説き文句を言う男なんて論外だ。
だって、そんな風に軽いノリで言われたら信用できないし言葉に重みを感じない。
でもロミオ様は口数は少なくとも言葉一つに誠実さがある。
お世辞は得意ではないけど。
「これからもっと愛を囁こう」
「わぁぁ!」
耳元で囁く声が色気がありすぎて震えそう。
まるで甘い誘惑に誘われるかのように私の身が持たない。
「逃げないでくれ、ちゃんと俺の目を見て欲しい」
見れません!
そんな色気垂れ流して、誘惑しないでください!
私はこの時、長きに渡って彼を誤解していた事に初めて気づいた。
そして、彼が私を本気で愛し、娶る気でいる覚悟を示されてしまったのだった。
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