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第四章
31.すべてお見通し
学年が上がってからの休日に私はサブリナ様に呼ばれ、伯爵家の行きつけのカフェに行くことにしたのだが。
「エリーゼ、今日は貴女に見て欲しいのがあるの」
「はい?」
テーブルに並べられたパンフレットを見てギョッとする。
「卒業したら結婚でしょ?式場も今から押さえて置こうと思って」
――忘れていた!
マリアンヌの事や、学園祭の事で忙しかったからすっかりポンと忘れていた。
「サブリナ様…実は」
「エリーゼ、ロミオの事を悪く思わないで上げて」
「えっ…」
もしかしてサブリナ様は知っているの?
「貴女げロミオに対して友人以上の感情を持っていないことは解っているわ。でも、あの子が嫌いではないでしょ?むしろ好いてくれていると思っているわ」
「はい。私はロミオ様が好きです…」
「結婚は恋愛がすべてじゃないわ。二人で愛を育んでいくものだもの」
その愛の意味がイマイチ解らない。
「私は長い間、男性に愛される事はないと割り切って来ました。ですからロミオ様の思いをどう受け止めていいか解らないのです」
「ロミオの事を考えてくれているのね」
「え?」
「困った顔をしているわ。友達以内ならここまで迷うことはないわ…意識していることよ」
今まで深く考えなかった。
前世でも喪女まっしぐらな私だからどうすべきか解らない。
「私は貴女がロミオの隣にいてくれたらと思うわ。だけど、望まないならあの子に正直に言ってあげて。じゃないと互いに傷つけ合うわ」
「ロミオ様を…」
「でも、少しでもあの子に思いを寄せてくれているなら、受け入れて欲しいと思うわ」
私はどう思っているのだろうか?
ロミオ様の事は大好きだ。
ずっと一緒にいて、大好きだったけど。
でも正直私がロミオ様の隣にいていいのか悩む。
「エリーゼ、ロミオの立場は気にしないで」
「でも…」
「貴女の悪い癖だわ。一番は貴女がロミオをどう思っている。それだけでいいのよ」
サブリナ様は本当に何でもお見通しなんだろうか。
二十年過ぎてもこの方に勝てる気がしない。
「何でもご存じなんですね」
「息子の事はとくにね?」
片目でウィンクしても違和感がないなんて凄い!
美人さんは何をしても許されると言うのは本当だ。
お母様がしたら正直寒気しかないのに、サブリナ様がすると美しいと思う私だった。
「まぁそれはおいておいて。とりあえずドレスの試着に行きましょう」
「え?だって…」
「それはそれ、これはこえれよ」
そう言いながら私はサブリナ様に連行され着せ替え人形にされるのだった。
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