冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!

ユウ

文字の大きさ
192 / 311
第四章

40.恋ではなく愛





困った表情で私の頭を撫でるロミオ様。
精神年齢は私の方がずっと上のはずなのに、ずっと大人だった。

多く口に出して語らないけど、言葉に出さないだけでちゃんと通じていた。

私が壁にぶち当たる時。
何かに悩んでいた時もただ何も言わずに傍にいて、何かしたいと思った時は影ながらサポートを実行してくれた。


私がどんな無茶をしても。
ぶっ飛んでいる行動をしてもロミオ様は最後まで付き合ってくれた。


そういう人だった。
友人や身内にはあまりにも優しく寛大すぎる人だった。


「君が嘆いている問題は、余りも多きい…だからこそ、短時間で解決はできない」

「はい…」

前世の常識とこの世界の常識を同じにすることが間違いなのは解っている。

貴族が税を払わないのが当然だった世の中にいきなり言っても無理だし、順序という物がある。


解っている…。


「時間がすごくかかる。父の代ではなす事が出来なかった。だが俺達の代、そして俺達の後を引き継ぐ子供達にも伝えればいい。俺達は土台を作るんだ」

「子供達の代…」

「大きな改革は時間がかかる。後五十年、いや、百年ぐらいした時に、政治は変わるだろう」

「百年…」

「それだけの年月が必要なんだ」


政治を変えると言うのは大変で長い月日を費やさなくてはならない。
それ程の長い時間がかかるんだ。

「だが、子々孫々と俺達の願いを引き継いでもらえるように変えて行けばいい、最初は税を安くして、貴族から別の形で民に援助させるんだ。それだけでも変わるはずだ…貴族しか通えない高等教育も平民が受けられるようにしたらいい。教育の場を広げて、誰もが平等に学べる場を持つべきなんだ」

ロミオ様は私よりもずっと深い所で考えていた。
宰相を父に持つからこそ、下町や貧民街で暮らす子供達の状況を嘆いていたのかもしれない。


「髪の色、目の色…魔力がないから差別される。逆に魔力が強いから恐れられることがない様に国の法律を見直せるように働きかけるのも時間かかる。だが俺は必ず変えて見せる…だから信じて欲しい」

「ロミオ様」

「俺は今まで君に嘘をついたことはあったか?」

私は首を横に振った。
ロミオ様は私に一度だって嘘をつかなかった。


「俺は君に嘘は言わない。これまでずっと君に偽りを口にしたことはないし。この先も君には誠実でありたいと思う」

不器用ながらもロミオ様の誠実な思いだった。


泣きたくなるほど嬉しかった。


この人は優し過ぎる。

真っすぐすぎる。


「だから俺を信じてくれ」

そんなロミオ様が好きだった。


友人としてではなく。


私はこの時改めて思い知った。
幼い頃から私を助け支えてくれていたロミオ様の思いは。


恋ではなかった。

幸せになって欲しい。

その思いは愛であり、一切の見返りはなかったのだから。





感想 683

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

いいえ、望んでいません

わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」 結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。 だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。 なぜなら彼女は―――

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

「離縁状の印が乾く前に、王太子殿下から花束が届きました」〜五年間「置物」と呼ばれた侯爵夫人、夫が青ざめるのは王家との縁が切れてからでした〜

まさき
恋愛
侯爵夫人として過ごした五年間、夫に名前を呼ばれたことが一度もなかった。 愛人を夜会に連れてきた翌朝、私は離縁状を置いて屋敷を出た。 夫は「すぐ戻る」と思っていたらしい。 でも届いたのは、王太子殿下からの白薔薇だった。 「五年、待ちすぎました。今度こそ私の隣に」 幼馴染の殿下は、いつも私を「アメリア」と呼んでくれた。 ただそれだけで、五年分の何かが、ほどけていった。 夫が全てを失うのはこれからの話。 私が本当の笑顔を取り戻すのも、これからの話。