冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!

ユウ

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第五章

35.趣向の違い





絶望的な状況になりながらも私はお弁当箱を広げた。


「これは!」


やっぱりドン引きしますよね!
当初はエカテリーナ様も絶句していたぐらいだし。

サーシャは気にしていなかったけど、純粋な貴族の友人はコメントに困っていた。


やっぱり固まっている。
絶対に機嫌を損なわせてしまったんじゃないか?

文林様は喜んでいたけど、あの人が特殊だったんだ。




「まぁこれは至高の料理、握り飯ではありませんか」

「へ?」

「しかも私達が知る握り飯よりも美しい形をしていますね」


いや普通のおにぎりだけど。
三角おにぎりで、おむすびの天辺に具をのせている。

「このように美しい握り飯は初めて見ました。それに…」

「米粒に艶があり、なんて事ですの?米粒が潰れていませんわ」


いや、それぐらいで感動するの?


「まずは私からいただきます」

「ああ!そんな大きなものを」


貴族ならば手づかみで食べるのはまずないのだけど、お饅頭とか食べなれているならありなのか。


でも、食べてから幻滅しないだろうか。


「中に大根の細切りに味噌と葱に出汁が入っています。素朴ながらもなんと美味な…握り飯は甘みがあって口の中で崩れてなんという事でしょう」

「ずるいわ翡翠。私も…まぁ、美味しい」

二人はおにぎりを幸せそうに食べている。
もしや清の国の人の味覚は日本人の味覚に近いのか?

エリシオンの主食はパンで食事はイタリアンやフレンチが主流だった。
調味料も味が濃いし、料理にかけられているソースは濃厚だった。


和食が慣れてる人に洋食の日々はキツイ。


「こちらはお祖父様の自慢されていた幻の梅干しですわね」

「いいえ、普通の梅干しです」

何?
幻の梅干しなんて勝手に名付けたのは。

領地で作っている梅を梅干しにただけ。
ただし科学調味料は一切使わず手間をかけている昔ながらも田舎漬けだ。


「こちらの揚げた握り飯は固いですわね」

「ああ、それはアツアツの出汁に入れるんです」


シャノワール商会で作った温度を保てる水筒を用意して、器にお汁を注ぐ。


「これは雑炊ですか?」

「崩して食べてください」


これは私の一番好きな食べ方だった。

「出汁と梅干しの味が…なんて美味なのでしょう」

「揚げたお握りをお茶づけにするとは」


この調理法は遠征に出向く騎士や冒険家の人の為に考えた。
元は揚げおにぎり茶漬けからヒントを得たのだ。


戦場や遠征先でも温かい物が食べたいとリオネル様に言われた時に考えたのだ。



「素晴らしいですわエリーゼ様」

「はい?」


手を掴まれ、私はビクつく。

「このようなアイデアを生み出すなんて。貴女様はなんて聡明な方なのでしょう」


いや、聡明じゃないです。
前世の知識を少し使っただけです。


なのに何故かこうも持ち上げられるとは!
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