冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!

ユウ

文字の大きさ
237 / 311
第五章

36.義理と人情~春麗side





お祖父様の命により私はエリシオン王国に留学することになった。

表向き理由は留学であるが実際は違う。



「春麗よ。そなたはこの国留まり巫女姫様をお守りせよ」

「お祖父様…それは」

「詳しい事情はある程度はロミオ殿から聞いたが、実の妹に命を狙われるなどなんと不憫な事よ。何より龍神様のお使い様に万一の事があってはならぬ」

我が一族は、龍神様に仕える者。
そして龍神様のお使いとなる方を支え守るのが役目でもある。


「本来なら大切にされ、家臣に礼を尽くされて当然の姫をなんと無礼千万な事よ」

「姫巫女様でなくとも公爵令嬢であるならばありえない事なのですが」


私も事情を聞かされた時はないと思ったわ。
魔力至上主義な考えだとしても王族の親族に当たる令嬢に対して無礼過ぎるわ。

聞けばエリーゼ様は公爵家の長女であり、これまで多くの功績を残したのに王は評価しようとしていない。


「本来ならば馬鹿王に訴えてやりたいものだ」

「私情がたっぷりですわね」

「お前もそうではないか」


珍しくお祖母様も同意している。
それだけエリーゼ様を気に入っておられるのかしら。

「姫巫女関係なくあの方は実のある方です。そして物事の道理を理解し本質を見抜くことができる方です」

「例え巫女の資格があろうとも、成長する中で資格を失う事もある」


二人の言う通り、過去に聖女の資格を持った乙女が堕ちてしまった事は少なくない。
幼い頃は純粋でも時間が過ぎれば変わってしまう。

だけどエリーゼ様は公爵令嬢でありながら周りから酷い仕打ちを受けながらも心を汚すことはなかった。


「本当に罰当たりな連中が…エリーゼが優しい事を良い事に」

「ですから、学園でもエリーゼ様を傷つける者は外交問題にならない程度に痛めつけなさい。ええ、国同士の問題にならない方法なら許しますわ」


二人共相当怒っているわね。
巫女の資格がなくてもエリーゼ様を庇う気でいたのでしょうね。


特にお祖父様。


でも、気持ちは解るわ。
清の国を馬鹿にしているこの国の貴族とは違い、最初から裸の付き合いをしてくれたエリーゼ様は、お祖父様の正体を知っても接し方は変えなかった。


元から気にしない性格なのでしょう。
もし私が知らずに出会っていたら同じだったかもしれない。

我ら一族は敵に容赦はしないけど、一度でも恩を受ければ忘れない。
義理と人情が強い一族なのだから。


「何処の世界に自分の利益無しに手を差し出してくれる貴族がいるか。それも見下している国に手を差し伸べてくれるか」

「何も解ってないのはあの愚王ですわね」

「良いな、エリーゼを守るのだ」


姫巫女だからではない。
エリーゼ様だからこそお祖父様は私に命じたのだ。


そして私もあの方が好きだわ。

感想 683

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

いいえ、望んでいません

わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」 結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。 だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。 なぜなら彼女は―――

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

「離縁状の印が乾く前に、王太子殿下から花束が届きました」〜五年間「置物」と呼ばれた侯爵夫人、夫が青ざめるのは王家との縁が切れてからでした〜

まさき
恋愛
侯爵夫人として過ごした五年間、夫に名前を呼ばれたことが一度もなかった。 愛人を夜会に連れてきた翌朝、私は離縁状を置いて屋敷を出た。 夫は「すぐ戻る」と思っていたらしい。 でも届いたのは、王太子殿下からの白薔薇だった。 「五年、待ちすぎました。今度こそ私の隣に」 幼馴染の殿下は、いつも私を「アメリア」と呼んでくれた。 ただそれだけで、五年分の何かが、ほどけていった。 夫が全てを失うのはこれからの話。 私が本当の笑顔を取り戻すのも、これからの話。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!