冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!

ユウ

文字の大きさ
245 / 311
第五章

44.ガーデニング~ロミオside





ロベルトとの上司の使いで忙しくしていた俺はようやく時間を見つけて様子を見に来た。


「エリーゼ、何をしているんだ」

「鉢植えを運ぼうかと」

作業服を着て、懐かしい恰好をしていた。
少し前までは我が家で似たような恰好をしていたからな。

「種を植えるのか?」

「はい、春麗様にお願いをされたので。折角だから学園祭の時に使うあれも」

「緑の門か」


学園祭では校門の周りに花を飾るが、それだけでは物足りないので緑を沢山つける予定だった。

柱の周りはツタで巻きたいと言っていたからな。

「俺も手伝おう」

「でも、折角の恰好が」

「大丈夫だ。携帯している作業服がある」

婚約して直ぐの頃、我が家の庭を手入れする時にジャージという作業服を作ってくれたエリーゼだったが、思いのほか着心地が良く、母上が大量生産をさせた後に我が領地では大人気になった。

その所為か、俺も王立図書館で整理をする時は着ている。

「危ないから鉢植えは俺が運ぼう」

「ありがとうございます」

こうして俺達は二人でガーデニングをすることにしたのだが。



「新しく開発した肥料です」

「変わった肥料だな」

「これで早く育つんですよ。後は聖水を使ってと」

銀色の水尺を取り出す。

「これ、ガラクタ市場で買ったんです。何だ持ち手が使い心地が良さそうだったから」

「あまりガラクタ市場に行かないで欲しんだけどな」

トリアノン公爵夫人にバレたらまた叱られるし、エカテリーナにもバレたら面倒だ。

ある程度は自由にさせてやりたいが、エカテリーナはエリーゼに貴族令嬢としての矜持を求めている。

俺と結婚したら伯爵夫人になるが、エカテリーナは伯爵夫人で終わって欲しくないのだろうが。


エリーゼは爵位を得る事を望んでいないから、俺も家を継いでもそこまで出世欲がない。
今で十分幸せだし、エリーゼを自由に過ごせるように今の生活を守りたいんだが、周りは許してくれないから痛い所だ。


「たーんと飲んでしっかり育ちなさい」

「そんなにすぐ育つのか?」

「気持ちの持ちようです。でも、もっとお花を育てたいですね」

そう言いながら、畑道具の傍にあるそれを見た。

「エリーゼ、花や薬草はまだいいが、野菜や果物はエカテリーナの雷が落ちるぞ」

野菜の苗が置かれている。

それに田んぼの稲まで。

「野菜は置いておこうな?」

「はーい、そうだ…日差しの良い方に持って行きましょう」

「ああ」

西日の方が良いと言い出し、鉢植えを運んだのが間違いだった。


そこが生徒会室のすぐ傍だったのだ。



感想 683

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

いいえ、望んでいません

わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」 結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。 だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。 なぜなら彼女は―――

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

「離縁状の印が乾く前に、王太子殿下から花束が届きました」〜五年間「置物」と呼ばれた侯爵夫人、夫が青ざめるのは王家との縁が切れてからでした〜

まさき
恋愛
侯爵夫人として過ごした五年間、夫に名前を呼ばれたことが一度もなかった。 愛人を夜会に連れてきた翌朝、私は離縁状を置いて屋敷を出た。 夫は「すぐ戻る」と思っていたらしい。 でも届いたのは、王太子殿下からの白薔薇だった。 「五年、待ちすぎました。今度こそ私の隣に」 幼馴染の殿下は、いつも私を「アメリア」と呼んでくれた。 ただそれだけで、五年分の何かが、ほどけていった。 夫が全てを失うのはこれからの話。 私が本当の笑顔を取り戻すのも、これからの話。