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第五章
44.ガーデニング~ロミオside
ロベルトとの上司の使いで忙しくしていた俺はようやく時間を見つけて様子を見に来た。
「エリーゼ、何をしているんだ」
「鉢植えを運ぼうかと」
作業服を着て、懐かしい恰好をしていた。
少し前までは我が家で似たような恰好をしていたからな。
「種を植えるのか?」
「はい、春麗様にお願いをされたので。折角だから学園祭の時に使うあれも」
「緑の門か」
学園祭では校門の周りに花を飾るが、それだけでは物足りないので緑を沢山つける予定だった。
柱の周りはツタで巻きたいと言っていたからな。
「俺も手伝おう」
「でも、折角の恰好が」
「大丈夫だ。携帯している作業服がある」
婚約して直ぐの頃、我が家の庭を手入れする時にジャージという作業服を作ってくれたエリーゼだったが、思いのほか着心地が良く、母上が大量生産をさせた後に我が領地では大人気になった。
その所為か、俺も王立図書館で整理をする時は着ている。
「危ないから鉢植えは俺が運ぼう」
「ありがとうございます」
こうして俺達は二人でガーデニングをすることにしたのだが。
「新しく開発した肥料です」
「変わった肥料だな」
「これで早く育つんですよ。後は聖水を使ってと」
銀色の水尺を取り出す。
「これ、ガラクタ市場で買ったんです。何だ持ち手が使い心地が良さそうだったから」
「あまりガラクタ市場に行かないで欲しんだけどな」
トリアノン公爵夫人にバレたらまた叱られるし、エカテリーナにもバレたら面倒だ。
ある程度は自由にさせてやりたいが、エカテリーナはエリーゼに貴族令嬢としての矜持を求めている。
俺と結婚したら伯爵夫人になるが、エカテリーナは伯爵夫人で終わって欲しくないのだろうが。
エリーゼは爵位を得る事を望んでいないから、俺も家を継いでもそこまで出世欲がない。
今で十分幸せだし、エリーゼを自由に過ごせるように今の生活を守りたいんだが、周りは許してくれないから痛い所だ。
「たーんと飲んでしっかり育ちなさい」
「そんなにすぐ育つのか?」
「気持ちの持ちようです。でも、もっとお花を育てたいですね」
そう言いながら、畑道具の傍にあるそれを見た。
「エリーゼ、花や薬草はまだいいが、野菜や果物はエカテリーナの雷が落ちるぞ」
野菜の苗が置かれている。
それに田んぼの稲まで。
「野菜は置いておこうな?」
「はーい、そうだ…日差しの良い方に持って行きましょう」
「ああ」
西日の方が良いと言い出し、鉢植えを運んだのが間違いだった。
そこが生徒会室のすぐ傍だったのだ。
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