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第五章
47.トラブル発生
学園祭が明日を迎える最中、目玉となるお菓子の手配も順調だった。
巨大なケーキを作る予定なのでシャノワール商会に一番良い小麦粉を頼んでいた。
なのだけど。
「スコット、どうしたの?」
「いいえ、普段食べるのはパンなのに、やはりケーキのほうが親しまれているのだと思って」
「あー…」
確かスコットが懇意にしている老夫婦はパン屋を営んでいる。
「普段毎日食べているのに」
「そうだよね。パンの方が栄養は高いしお腹も膨れるし」
「いえ、そういう意味では」
じっとメニュー表を見ているスコット。
スコットの生まれ育った故郷はパン、特にブレッドが特産物で主なお菓子は甘みのあるパンだった。
けれど、王都で流行っているのは白くて見た目綺麗なパンが多い。
貴族の間ではお茶会に重要視されるのはお菓子がメインだったけど、パンも入れたいのかな。
「スコット、今から」
「そんな時間はありません」
「でも、ケーキと一緒に…」
「気持ちだけ受け取っておきます」
頑ななスコッチはそのまま去って行く。
「スコット…」
横顔が寂しそうだった。
なんとかしてパンを出店できないかな?
他の喫茶店でもパンは取り扱っているけどメインではない。
メイン料理の引き立て役になる程度だったのだ。
「でもパンだけじゃインパクトは少ないし。パンが華やかになる方法はないかな」
あんな寂しそうな顔をしているスコットを見てなんとかしてあげられないかと思った矢先。
「大変ですお義姉様!」
「どうしたのシルビア?」
珍しく大慌てのシルビアに私は驚いた。
「発注先の馬車が事故に合ってしまって…本日届くはず材料が。パティシエも負傷してしまって」
「ええ!」
「幸いにもケーキに使うチョコレートや小麦粉は届いているそうなのですが」
パティシエが怪我をしたんじゃケーキ作りに支障が起きる。
いくら学園祭とは言えど、衛生面でプロのパティシェを呼んばなくてはならないのだ。
「どういうことですの!」
生徒会室で怒鳴り声が聞こえる。
「エカテリーナ様?」
「どうしてちゃんと確認しなかったんです。これでは…」
生徒会室に置かれる大量の荷物。
明日に使われるはずのケーキ作りの材料だと思ったが…。
「これは、薄力粉じゃない。強力粉…」
「しかも全粒子も入っていますわ。ミルクも腐っていて…」
春麗様は中を確認しているけど、ミルクは全部アウト。
ケーキに使える小麦粉はないし、砂糖の塩と変わっていてケーキに使う材料がまったくない。
「ちゃんと確認しました。昨日に業者の方に」
「だったらどうして…これは」
泣きながら確認をしたと言う実行員からエカテリーナ様は明細書を見たが、明らかにおかしい点が見つかった。
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