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第七章
6.地下牢での対面
薄暗い地下牢。
蝋燭の灯を頼りに私は下へ下へ降りて行く。
そこは小さな窓に柵がされており脱出不可能となり重罪人が入る牢屋。
光も見えない場所で暗闇で己の罪を懺悔する場でもある。
「こちらです」
「ありがとうございます」
「エリーゼ、本当に良いんだな」
「はい」
今私はイズラの元に向かっている。
本来ならばちゃんとした場で面会をする事が可能だったのだが、イズラの罪状では牢屋から出る事は許されなかった。
なので監視と騎士団とロミオ様が同行する形で地下牢に出向くことになった。
「あら、不愉快な面会人だこと。ドブネズミが」
「貴様!」
私の顔を見た瞬間イズラが放った言葉に監視は胸倉を掴むも、イズラは気にも留めない。
「偽りの令嬢が…本物を追い落とした気分はどう?さぞいい気分のようね」
「エリーゼ」
「いいです」
言わせておけばいい。
イズラはどうあっても私を認めたくないのだろう。
ここまでするのはきっと彼女も…。
「何よその目。昔から不愉快だったのよ」
「イズラ…」
「何よ!アンタは昔から」
私に飛びつこうとするも足枷で動けず、椅子に座らせられていたイズラはバランスを崩す。
「貴女は私を憎んでいた。それは何故?魔力がないから?」
「そうよ…魔力がなくて出来損ないの癖に!何でアンタが重宝されるのよあの子がその場にいるはずだったのよ!なのに…」
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