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第七章
15.夫の再教育~王妃side
昔から弱い人だった。
幼少期に偏り過ぎた教育を受けていたけれど、まさかこんな弊害を引き起こすとは思っていなかった。
「うーん…うーん」
「まったく情けないですわ」
ベッドに横たわり、ずっと熱で苦しむ陛下に同情の余地はない。
メルヴィン侯爵にうっかり騙され呪いをしかけられるなんて、情けなくて涙も出ないわ。
「母上、ワクチンが関せしました」
「よろしい…」
「んー…何だそれは!」
「ワクチンですわ」
特大サイズの注射を見せるとさっきまで起き上がれなかったのに飛び起きて逃げようとする。
しかし、そんなことを許すわけもなく。
「陛下!」
ピシっ!
愛用の鞭を取り出し、私は鞭を自由自在に操り捕まえる。
「大事なワクチンですのよ?二度と洗脳されないためにも予防が必要ですわ」
「私は…注射が死ぬほど嫌いだと知っているだろう」
「ええ、知ってます。これは罰ですわ」
陛下だけが悪いとはいいません。
私ももっと周りに気を配るべきでしたのに。
陛下の人格がおかしくなっても何もできなかったのですから。
ですから二度とこんな事が起きないようにしなくてはなりませんわ。
「体の熱もこれ一本」
「その前に私があの世に行くだろう」
「多少おかしくなっても大丈夫ですわ。三年後にはロベルトと交代ですので」
まだまだ未熟すぎるけれど優秀なエカテリーナ嬢にスザンナ嬢に。
何よりエリーゼ嬢が力を貸してくれるでしょう。
我ら王家は許されない事を続けながらも彼女は許してくれた。
マリアンヌは辺境地で最も厳しい修道院から死ぬまで出る事は叶わないわ。
彼女が反省の色を見せれば修道院を移動できるけど、彼女は随分と図太い性格のようだった。
普通は精神がおかしくなるか泣き崩れるかのどちらかだと言うのに移動中の馬車も罵倒を浴びせているそうだわ。
鋼の精神のようね。
これだけの強さがあるならば別の事に利用すればいいのに。
「まぁいいわ。さぁ陛下」
「やめろぉぉぉ!」
諦めの悪い陛下を抑え込んでワクチンを刺す。
「あー…」
「まぁ、失神したわ」
「王妃陛下、医師の私が言うのも何なのですが」
「何です?」
冷や汗を流す医師が私に尋ねる。
「大丈夫でしょうか」
「死ななきゃいいわ」
あっさりと告げた私に何も聞き返してくることはなかった。
さてと、後は問題のあの男だけど。
今頃水槽の中で反省している頃でしょうね?
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