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第一章婚約破棄と白のグリモワール
4敵ばかりの中で
しおりを挟む「今すぐ出て行きなさいよ!」
学園愛の校舎で罵倒を浴びせられ冷水をかけられる。
「聖騎士様の聖女様を苦しめる悪女!」
「アンタなんて戦場で死んじゃえばよかったのに!」
「出来損ないの魔導士の癖に」
何処にいても罵倒と蔑んだ視線が付きまとう。
「お嬢様!」
「セイラ…」
大急ぎで駆けつけて来たのはセイラだった。
「酷い。酷すぎますわ…あの噂は本当だったなんて」
噂と言われても解らないメアリ。
「私は二人を不幸にしていたんだって…ぐずん」
「違いますお嬢様…」
「きっと無理をさせていたんだね」
大好きだった。
子供の頃から二人の事が大好きだったけど。
聖騎士であるアークと、宮廷魔術師であるユーフィリアは学園でも人気だった。
対するメアリは魔導士の家系に生まれながらも治癒魔法と少しの結界魔法しか使えなかった。
その所為で周りから冷たい視線にさらされるも、二人が常に庇ってくれた。
だからこそ治癒師としてでも二人を守りたかった。
最前線で戦う二人の役に立ちたかった。
だから毎日必死に頑張って医師としての勉強もした。
そして二年前。
討伐の命令が下ったが、ユーフィリアが体調を崩して高熱になり、代わりに誰かが戦場に行かなくてならなくなった。
討伐の命令に逆らうことはできない。
そこでアークに頼まれユーフィリアの代わりに戦場の治癒師となった。
戦場では怪我だけでなく流行病も多く、治癒師でも感染病にかかる可能性もあるが、メアリは黒魔術師でもあるユフィ―は宮廷師団の中でも重要な立場にある。
対する自分は攻撃魔法を一切使えないので優先するのはどちらか解っていた。
元より体が丈夫じゃないユーフィリアを守るべく12歳で戦場に出たのだ。
「私…馬鹿だな」
ずっと一緒にいて気づかなかった。
「私に意味があるの…治癒しかできない私に何が」
このまま学園を去ろう。
領地に帰って婚約解消をしてもらえるように頼もう。
「戦場に出て散るのが私にお似合いなのかもしれない…そうよ。せめてお国のお役に立てば」
「お嬢様…それは!」
「もうそれしか道はない。私は戦場で生きていくしかない」
私は初代国王剣帝様を支えた白の魔導士様のような強大な魔力はない。
だけど国の為に生きる覚悟はある。
「ここにいれば私は沢山の人の迷惑になる…なら誰の迷惑にもならないように」
「お嬢様!そんな…」
「ならその命僕がもらい受ける」
第三者の声が聞こえ、振り向くとそこには金色の髪をした美しい少年がいた。
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