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第二章魔導士の条件
9上に立つ者の資格
絶望的な状況から一変し、メアリについて行く生徒達。
「俺達も続け!」
「魔導士様に!」
口々に生徒達、特に騎士科に所属する小等部の監督生が率先していた。
「魔導士様に続け!」
「「「おおお!」」」
彼等にとってメアリは絶望を希望に変えてくれた存在だった。
「姫様!」
「ギーゼラ、私達も行きますわよ」
リーシアは王女でありながら己を恥じた。
もし自分だったら皆を駆り立てる事ができただろうか。
心を尽くし、言葉を尽くす事ができたのか。
「戦う覚悟なない者は下がりなさい。貴方達も来なくて結構よ?」
「私は…」
「来ても足手まといですし邪魔ですわ」
「そんな!」
リーシアはユーフィリアとアークを軽蔑する目で見た。
「聖女様に続け」
「あの方こそ白い聖女様だ!」
背後ではメアリを聖女と慕う声が続出し、一人、また一人と戦場に向かっていた。
「援軍の人数が増えているな」
「ああ…」
メアリ達は学園を出た後に東の森に向かう時には多くの援軍を引きつれ魔物の元に向かっていた。
(やっぱり君は…)
ミカエルは胸が熱くなるのを感じていた。
命令で人の心まで動かすのは不可能だったが、心を動かすのは心だった。
「彼等の心を動かしたのはメアリの声だ」
「彼女は自覚がないのが怖いな」
学園では差別は多く、生まれ持って優れたスキルとそうでない者が多い。
特にテイマー等は自身の能力はそれほど高くないと見下されて折るが、彼等の協力無くして魔獣を扱うことはできない。
戦場では一匹でも多く魔物を殺すよりも大人しくさせる方が効率的で死傷者を出さないのだ。
無駄に戦って血を流さないようにする術をメリアは解っていたのだ。
「治癒師として多くの戦士の死を見て来たのだろう」
「だからか」
ユリウスはメアリの意図を読み取り、認めざるを得なかった。
「ミカエル。何故彼女は許せたんだ」
だからと言ってメアリがアークとユーフィリアに裏切られた事実は変わらず、それを責めることなく許している事に違和感を感じている。
「裏切られたと思っていないんだろう…」
「馬鹿だろ」
「それだけ二人を愛していたんだ。それが憎い」
ミカエルはメアリがどれだけ二人を慕っているか知った。
だからこそ余計に許せなかった。
「あの場で役目も果たさないような最低な男…あんなの男じゃない」
「ミカエル…お前」
「婚約者を裏切っただけでなく自分達の保身の為に彼女を悪女に仕立て上げたのはあの二人だ…メアリを利用して!」
噂の出所はある程度掴んでいた。
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「ミカエル」
メアリがどれだけ傷つくか考えると真実を口にできなかった。
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