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最終章白の治癒師
12婚約の宴
婚約式では国民も王宮の庭園に入ることが許可された。
新聞記者も出入りが自由になる一方で不審者がいないか確認が厳重だった。
王宮内も侍女達も念入りに確認された後に婚約式は行われた。
この国の王子の婚約者が聖職者の代表である事を国民は心から喜んだ。
「ミカエル殿下!」
「教皇猊下万歳!」
国民にとって浪費癖のある王女や貴族よりも民を思ってくれる聖職者が王太子妃になる事の方が望ましかった。
「手を振ってあげてくれ」
「はい」
ミカエルは国民に受け入れられている事を心から喜んだ。
(元治癒師である事が良い方に向いたな)
辺境地を走り回り傷ついた騎士の為に泥だらけになりながら苦悩していた。
その姿を多くの平民は知っていた。
(これからメアリは社交界で生きて行かなくてはならない…守らないと)
ミカエルの中では強い思いがあった。
これまで社交界から離れた場所で生きて来たメアリはあまりにも知らないことが多すぎる。
善意の塊でできているメアリにはあまりにも酷な世界だ。
裏切り、裏切られるのは日常茶飯事の中で生きていかなくてはならない。
それでも、この身が及ぶ限り守ろうと。
メアリの手を繋ぎ国民に向かって手を振り、今日を迎えられたことを感謝しながら挨拶をする。
「皆、今日は僕達の為にありがとう」
大勢の前でこうして挨拶を交わせる日を幸せに思った。
「国王陛下の病も回復に向かわれ、国は良き方向に向かっている。外では戦争も多く不安にさせることも多いが…どうか我らを信じて見守って欲しい」
国民の笑顔を。
国が長く繁栄することを祈りながら挨拶の言葉を告げた。
「今日は宴だ。存分に盛り上がるが良い!」
玉座に座る国王陛下が声を上げると、参列者は盛り上がる。
「国王陛下万歳!」
「万歳!」
貴族、国民も拍手をして声を上げて盛り上がった。
「父上…あまり無理を」
「何、少しぐらいなら問題ない。酒は飲まぬよ」
グラスに注がれたのはジュースだった。
まだ病み上がりなのでお酒は許可されずジュースで祝杯を挙げた。
「メアリ嬢」
「はい…」
「ミカエルを頼んだぞ」
「はい」
国王は長らく病床に臥していた事を今でも悔やんでいた。
国が大事の時に倒れミカエルに負担をかけてしまった事を。
そしてメアリの婚約の事に関しても。
「国の掟とは言え、酷な事を敷いてしまった。まさか聖騎士があのような男であったとは」
「もう終わった事です。それに感謝しております」
「何?」
メアリは既にアークの事は過去の存在としてしか思っていない。
国王に関しては感謝こそしても恨む理由はないのだから。
その理由は――。
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