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番外編
若き王の事情③
友人はミカエルの悩みとは裏腹に、良かったと言うばかりだった。
(メアリになんて話そう)
この時間は執務を終えて部屋にいるだろうと思っていたのだが。
「メアリ、いるかい?」
「ミカエル様」
部屋にて割烹着を着て生地をこねているメアリがいた。
「今日は何を」
「今から巨大コッペパンを作るんです」
「巨大コッペパン?」
王太子妃となって忙しい合間にメアリはパンを作っていた。
学生時代から懇意にしているコパンは王太子妃専属のパン職人に選ばれた後にパン教室を開いていた。
「コパンにお願いしてお祝いのパンを作るんです」
「お祝い?」
「そうです。ミカエル様の戴冠式に」
「は?」
何で知っているのかと思った。
国王から命じられて時間も経っていないし、リーシアが勝手に漏らす事はない。
「ちょっとフェンリル達に聞いたんですよ。何でもラセンドルが色々馬鹿な事を考えている情報もキャッチしましたので」
「え!」
「王宮にも少ないですが鳥を忍ばせているんで諜報活動はバッチ来いです!」
親指を突き上げてドヤ顔をするメアリにミカエルは眩暈がした。
(忘れていた…)
メアリの配下に下っっている魔牛に魔豚。
フェンリルもいるのだが、最近は地獄鳥までも味方につけている。
地獄鳥は魔族の配下に下る一緒なのだが、視察中に怪我をしているのを持ち帰り手当てをした翌日、地獄鳥の群れがメアリの元に集まった。
「いやぁ、本当にかしこいですね。地獄鳥達は欲深い人間の心を読めるたしくて」
「心を…」
「私を視察として呼んで囲むつもりだったみたいで」
「囲む」
国王が危惧していた事だった。
まさか本当にそんな恐ろしい計画を企てていたとは思わなかったが。
「王太子妃のままでは立場が弱いですもの」
「そこまで筒抜けか」
(下手な諜報員より怖いな)
人よりも魔獣達の方がずっと優秀で、多くの情報を知っているのだ。
「さぁ、パンを一緒に作りましょう」
「ああ…」
流される形でミカエルはパン作りに付き合わされることになった。
「結構楽しいな」
「精神統一にもなりますよ」
笑顔を絶やさないメアリにつられるように笑顔を浮かべながら戴冠式を迎えることになるのだが。
この時既に計画は始まっていた事をミカエルは知る由もなかった。
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