伯爵令嬢の受難~当馬も悪役令嬢の友人も辞めて好きに生きることにします!

ユウ

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第一章

2違う時間で

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入学式が行われる前にクラス分けテストが行われる。
成績の順でクラスが変わるのだけど、一人の生徒は木の下で教科書にかじりつきながら勉強している生徒が見えた。


「彼女が例の少女ですか」

「えっ?」

「平民で特別待遇で入学が許されたと聞きますが」

間違いないわ。
彼女だわ。


私の死に目に会いに来てくれたセルシア・キャンベル。


「大変ですわね」

「え?大変って…」

「以前買い物に行った時に、彼女を見かけました。何でも実家は貧しいそうで‥家事を手伝い、下働きの仕事を手伝いながら教会で勉強をされているかとか」


そうなんだ。
私は彼女がどんな家庭環境でどういう性格かなんて知らない。

特別待遇で平民なのに王立学園に入学する事が許されたと聞く。
光の魔力の保持者で優秀だとばかり思いこんでいたけど。


「制服を買うお金もなく、学園側からは学費は免除されてますが、教材や制服に授業に必要なお金は払わなくてはなりませんし。制服はお古でしょうし」

私達は新しい制服を着ている。
教科書だって新しいけど彼女の持っている教科書はお古でかなりボロボロだ。

「正直、今後の学生生活は大変でしょうね」


学生生活と言われて胸が痛くなる。
そう言えば彼女はクラスのほとんどの生徒に苛めを受けていた。

最初は平民だと言う理由。
その次は婚約者のいる男子生徒と親しくなったことが原因だった。


でも、入学してから孤立していた彼女は頼る人がいなかったら?


貴族の常識を知らない彼女が悪気が無かったとしたら?

私の最期を看取りに来てくれた彼女は悪女とは程遠かった。

改心した彼女の姿が…

あの時の彼女の姿が本当の姿だったら?


そう思うと心中複雑だった。


「行きましょうエリー。勉強の邪魔をしてはいけないわ」

「はいお嬢様」


私は関わるべきじゃない。


もうすぐオレリアが来るはずだわ。


そう思って、約束の場所の時間通りにオレリアとロイドが現れた。



「もう来ていたのね。待たせてごめんなさいね」

「早すぎだ。オレリアが気にする必要はない」


何だか含みのある言い方をしているのは気のせいか。
前世では気にしなかったけど、客観的に見ると彼の言い分はどうなのかと思う。


逆行前の私を思い出す。


「テストが始まるから急ぎましょう」

「ええ、そうね。どうせ私達は同じクラスになるんだし」

テストを受ける前から決まっていた。
そう、私はオレリアと同じクラスになっていた。


だけど、前世の話だ。


「えっ?クラスが違うわ」

「何でキャサリンだけ違うんだ」


私は前世と異なり、試験の結果が違った。
その為私だけ違うクラスとなった。



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