114 / 136
第三章
24すべては悪夢~ロイドside③
しおりを挟む傍若無人なオレリアの態度に母上は我慢ができなかった。
対するオレリアも、自分が悪いと思ってなかった。
その所為で二人の醜い争いはヒートアップするばかり。
浪費癖が酷いオレリアの生活はそれはもう酷いもので、俺は我儘を聞く気になれなかった。
これまで彼女の我儘は可愛いものだと思っていたが、酷すぎる。
邸の中では常に二人の罵倒が続き、借金は膨れ上がるばかりだった。
ジュレイド家は今後一切援助はしない。
縁を切っているので関係ないと手紙が届いた。
「何の役にも立たな寄生虫じゃない!」
「まぁ、なんて酷い事を…寄生虫は貴女でしょう?この家の女主人は私よ」
過去の俺はどうしてオレリアを愛していたんだ。
世間知らずで浪費家で、何もできない。
俺を支えようともしてくれない。
キャサリンは俺を支えてくれたのに何故だ。
キャサリンがいたからオレリアは侯爵令嬢としても成り立っていた?
「ロイド!あの女をなんとかして」
「ロイドあの馬鹿嫁を追い出しなさい!」
間に挟まれ俺は逃げるように邸を出た。
安息の地を探したが、逃げ場はまったくなく学園にも居場所はなかった。
「キャサリンと婚約していた方がずっと…」
今にしてはもう遅いかもしれない。
でも、戻れるなら輝いていたあの頃に戻りたい。
もう一度あの頃に。
そうだ…
すべてを戻せばいいじゃないか。
そう思っていたが。
「いや無理だろ」
「お前馬鹿だろ?つーかあの噂知らないのか」
同じ騎士科の友人にキャサリンと復縁しようと考えれいる中、反対された。
「何のことだ」
「フィルベルト殿下と良い仲だって話だ」
「そもそもお前は不義を働いてどの面下げてそんな真似を…最低だな」
「お前とはもう付き合えない」
友人はその日を境に縁を切られて、口も聞いてもらえなかった。
なんとかしてキャサリンと接触を図りたかったが…
「フォーカス君、君の残念だ。君はランクが最低になった」
「えっ…」
「学科の成績が酷く、これ以上成績を落とせば退学だ」
前期の成績は最悪なものだった。
テストの結果が悪く実技試験も最低の評価を受け、退学を宣告された。
留年になったとしてもそんな学費を支払う余裕は家にはない。
私生活ですら苦しく、実習でダンジョン攻略をしたいがそんな金はない。
惨めすぎる。
そんな最中に。
「聞きまして、キャサリン様の噂」
「先日エレーナ様と合同開発で魔道具をおつくりなったとか」
「干ばつの解決策も考えられて、恩賞が与えられるとか」
聞こえてくるキャサリンの賛美。
そうだ…
やっぱり俺に相応しいのはキャサリンだ。
きっとキャサリンは俺とよりを戻したくて評価を上げているのだと思った。
82
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?
綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」
婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。
ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。
表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723)
【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19
【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+
2021/12 異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過
2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過
完【恋愛】婚約破棄をされた瞬間聖女として顕現した令嬢は竜の伴侶となりました。
梅花
恋愛
侯爵令嬢であるフェンリエッタはこの国の第2王子であるフェルディナンドの婚約者であった。
16歳の春、王立学院を卒業後に正式に結婚をして王室に入る事となっていたが、それをぶち壊したのは誰でもないフェルディナンド彼の人だった。
卒業前の舞踏会で、惨事は起こった。
破り捨てられた婚約証書。
破られたことで切れてしまった絆。
それと同時に手の甲に浮かび上がった痣は、聖痕と呼ばれるもの。
痣が浮き出る直前に告白をしてきたのは隣国からの留学生であるベルナルド。
フェンリエッタの行方は…
王道ざまぁ予定です
【完結】やり直そうですって?もちろん……お断りします!
凛 伊緒
恋愛
ラージエルス王国の第二王子、ゼルディア・フォン・ラージエルス。
彼は貴族達が多く集まる舞踏会にて、言い放った。
「エリス・ヘーレイシア。貴様との婚約を破棄する!」
「……え…?」
突然の婚約破棄宣言。
公爵令嬢エリス・ヘーレイシアは驚いたが、少し笑みを浮かべかける──
【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない
かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、
それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。
しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、
結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。
3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか?
聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか?
そもそも、なぜ死に戻ることになったのか?
そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか…
色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、
そんなエレナの逆転勝利物語。
悪役令嬢は処刑されないように家出しました。
克全
恋愛
「アルファポリス」と「小説家になろう」にも投稿しています。
サンディランズ公爵家令嬢ルシアは毎夜悪夢にうなされた。婚約者のダニエル王太子に裏切られて処刑される夢。実の兄ディビッドが聖女マルティナを愛するあまり、歓心を買うために自分を処刑する夢。兄の友人である次期左将軍マルティンや次期右将軍ディエゴまでが、聖女マルティナを巡って私を陥れて処刑する。どれほど努力し、どれほど正直に生き、どれほど関係を断とうとしても処刑されるのだ。
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる