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18お茶会
しおりを挟む隣国のカリスタ王国は代々女性が君主を務めて来た。
絶対女性君主というわけではないのだが、何故か王族の男性の寿命が短いと言われている。
真意は定かではないが先代の国王陛下が病に伏せってしまったタイミングで敵国が攻めて来たのだ。
当時、貴族はが政権を握ろうと考え、敵国と通じていた。
国の絶対絶命の危機に立ち上がったのが当時王女殿下だったミカエラ様だった。
ミカエラ様は王族の中で最も血筋が良かったのだが、女性君主では国を守れないと差別的意見を持つ貴族により王座に就くことは難しかった。
なのだが、己の保身だけしか考えない貴族は国が危険な状況に我が身第一に考え国を捨てたのだ。
病で倒れた国王、敵に囲まれた国。
その中で、国王に代わり代行を務めることとなった。
当時はお母様もその戦争に大きくかかわっていたと聞いたことがある。
私にとっては憧れの人だった。
女性ながらもご自身の運命を自ら切り開いた方だった。
「どうした。口に合わなかったか」
「いいえ、そのような」
私からすれば雲の上の存在でしかない方だ。
こうして言葉を交わすだけでも緊張するというのに何故ご一緒にお茶を飲んでいるのだろうか。
「母上、もう少し空気を呼んでください」
「お前は気にし過ぎだ。人間多少はおおらかになるべきだ」
「壁をぶち破ってそれはないでしょう」
「後で修理する。私が」
ミカエラ様がするのか!
元王女殿下ですよね?なのに――!
「お嬢様、気をしっかりと」
「そういいながらアンナも震えているわよ」
「本来私のような者が同席することはありえないのです」
確かにそうだわ。
本来ならアンナの身分では直接顔を合わせることはないのだから。
「しかしやっぱりと申し上げましょうか…」
「貴族とは思ったのよ。王族に近しい立場の方かもしれないと」
殿下に対しての話し方を見て察したけど、思った以上だった。
「どうしよう…私」
「お嬢様、私はレオ様に荷物を持っていただいたり。色々と…」
そうよね。
レオはアンナの仕事の手伝いやら荷物を持ってくれたりしていたのよね。
「無礼だとは思いますが…レオ様はずいぶんと庶民的というか」
「そうね」
私も人の事を言えないけど。
辺境伯爵令嬢でありながら平民のようだと言われていた。
その一番の理由はお父様とお母様の関係性だ。
愛人を持つことなく、お母様が亡くなってからも再婚はしなかった。
その所為で不道徳だと言われた。
貴族社会では男性は妻以外に愛人を持つのは当然。
複数の愛人を囲んでいることがステータスだったのだから。
その枠から離れているお父様はハミダシモノだった。
レオにはお父様と似通うものを感じていた。
だからこそ最初から警戒心はあまりなかったのかもしれない。
「菓子が足りん。そうだ、カンパンを持って来たんだ」
「母上!」
「何だ?カンパンは体に良いぞ。お腹も膨れるし」
ああミカエラ様は王族でありながら、かなり庶民的だった。
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