所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ

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17急な来訪者

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襲撃事件と、不穏な手紙が届いたから三日。


早朝からレオの様子がおかしかった。
ずっと手紙を見てはため息ばかりだつたし、本を読んでいても同じページばかり。


「レオ、どうしたのですか」

「あっ…リゼ。ごめん」

「私の事は気になさらないで」


浮かない顔をしているレオが心配だった。
何か心配ごとがあるなら行ってほしいと思ったのだけど、私はレオの事を何も知らない。

だから相談に乗ることもできず…


「坊ちゃま!大変でございます!」

「おい…」


「先ほど火急で手紙が届きました。奥様が…こちらにいらっしゃると」

「は?」


こんなに取り乱した顔もするのね。
鬼軍曹のような侍女だと思っていたのに…


「レオのお母様がいらっしゃるならご挨拶をしなくては」

「いや…そんなことはしなくてもいい」

「そっ…そうですわ。姫様がまだ絶対安静ですから」


もう一人で歩けるし、医師からも問題ないと言われているのだから大丈夫だわ。



「これだけお世話になっているのだからちゃんとご挨拶を…」


「大変です!」


「今度は何だ!」

私の言葉を遮るように悲鳴を上げながら部屋に入って来たのは普段私のお世話をしてくれる侍女だった。


「何です。今は忙しい」

「そうだ!母上をどうやって追い返すか考えなくては」


「追い返す?」

せっかくいらっしゃるのになぜ追い返すのかと思った矢先だった。


「あら?影が…」

「お嬢様、前を!」

アンナが珍しく声を荒げた瞬間だった。



窓ガラスが割れた。


「リゼ!」

「何ですの!」


破片が飛び散ることはなかったけど、先日の襲撃事件でも建物に被害がなかったのに、どんな恐ろしい侵入者なのかと思ったのだけど。


「この私を追い返すなど百年早いわ!」


煙が立ち込めて声しか聞こえたなかったが、凛とした声が響く。


煙が消えたと同時に私は絶句した。


「空から侵入者が襲ってこないとは限らん。この私の侵入を止められぬとは」

「母上を止められたら、すべての敵の侵入は止められますよ」

「ハッ。お前もまだまだ詰めが甘い。それよりも…おや」


何故この方が…


隣国のカリスタ王国のミカエラ・リーズベルト公爵夫人。
カリスタ王国の戦女神と呼ばれる存在で未だに男尊女卑が当たり前の世でも彼女に一目置く方は多い。

一時は国王代行を務めたほどの方だ。


「驚かせてしまったかな」

「ごっ…ご無礼を!」


隣国の元国王代行の方に私はなんてことを!


「良い、頭をあげてくれ」

「そんなわけには参りません」

「あげてくれ…あげんか!」

「はっ!はい、上げさせていただきます!」


咄嗟に背筋を伸ばし私は頭を上げさせてもらった。


「母上、ここは我が国ではありません」

「むっ…癖でな」


なんて事なの!
ミカエラ様とレオが親子ということは…


レオはカリスタ王国の国王の甥に当たるわ!





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