所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ

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20両親の過去

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お母様がカリスタ王国の大公閣下の娘?
そんな話は初耳だった。


だってお母様は中位貴族出身だと聞いている。


「まだ君は幼かったから知らされていなかったんだな」

「母上、私も初耳ですよ」

「ああ、いずれ話す予定だった。お前とリーゼロッテが成人したら」

私が成人したら?
そもそもなぜレオも入っているの?

「奥様、話が飛び過ぎております。まずは最初からご説明すべきではありませんか?」

「そうだったな。まぁ今は簡潔に話そう」

「めんどくさいんですね」

「説明するのが苦手なだけだ」


呆れた表情のレオを見るとこのやり取りは日常的なのだと察した。


「私と君の母上は幼馴染関係でもある。本来なら王族に嫁げる身分であったが、若かりし頃に君の父君と大恋愛をしたのだが…ここで問題が生じる」

「国同士の問題ですか」


「そこは問題ない。あの腰抜けを脅して金を握らせれば…いや失礼」

普通に脅したと言わなかったかしら?
当初から国王陛下は弱腰だったということなのかしら?



「だが、当時シャルロッテとの婚約を望んでいた男はいた。まぁ金目当てだが」

「大体の想像はつく。当時の王家は貧乏だったからな」


あっさりと言ってのけるレオ。
敬意の欠片も感じられなかったけど、余程思うところがあったのかしら。


「どの国も基本馬鹿な政治をする王家は貧乏だ。当時私の同盟に賛同し助けてっ下さったこの国の王妃陛下も王の無能さを嘆いていらしたからな」

今の王妃陛下のことか。
確かにあの方は恐ろしほど有能だったと聞く。

国が傾きかけた時も陰で支えてくださったとか。



「支度金をがっぽりいただき、結婚後も援助したい魂胆が丸見えだ」

「もう少しお言葉を…」

「解りやすく言ったんだ。話を続ける」

「はい」

話が脱線しそうになってしまったが両親はその後結婚をするために一度養子縁組をすることにしたということになる。

となれば養子先との関係だ。


「現在は君の父君が領地経営をしているが、シャルの養父となった方はどの派閥に属しておらず。利用されることもない家柄だ…まぁ、高位貴族の餌食にならないように王妃陛下が脅し…じゃなくて、交渉してくださったのだ」


「もう脅しているんじゃないですか。本当に好きですね」

「無能な男を脅して拷問するのは大好物だ。強い女とはそういうものよ…まぁシャルは聖女様だからな。そんな真似はしなかったが」

「聖女様ですか…」

「ああ、成人したら出家して人々の役に立ちたいと言っていた」


なんとなく想像はつく。
辺境伯爵夫人として領民からは聖女と呼ばれ、優れた医師でもあった。
炊き出しに関しても、心ある貴族に声をかけて貧しい民の為に援助を行い、尚且つ国に利益が出るように奔走していた。


お母様が得る者はなくとも常に人々の為に働いていた。

まるで奉仕活動をするかのように。


「先々代では外の国の戦争が日常的だった。それを目の当たりにしていたんだ」

「だから何ですね」

「ただ高位貴族令嬢がそんなことを考えるのは悪しきことだと馬鹿なことを言う輩は多くてな」


女性には比較的優しいカリスタでも男尊女卑こそが正しいと思う人が少なくなかったといことか。


「だが君の父上はシャルと同じ考えを持っていた。大公閣下は隣国のティメリア王国では今よりも男尊女卑が酷い。だからこそ内側から変える為にと…」


お母様のお父様は柔軟な考え方を持ちだったのね。
同時に愛情深い人。


利益だけを求めて娘を政治の道具にする人は多いのに。


「養子縁組に関しては宰相閣下が動いてくれた…伯爵家以上の家格では争いごとになると言ってな」

「宰相閣下が…」


その当時からお父様と交流があったのね。
幼い頃から私を可愛がってくださったのはそういう理由もあったのかと納得した。



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