所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ

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42天邪鬼な主~アリエットside

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怒って去っていく彼女を見てため息をつく。


「殿下、貴方は馬鹿ですか。馬鹿としかいいようがありません」

「何がだ」

我が主はどうしてこうなのか。

「思い人を悪く言うのはどうなんです」


「罪悪感はある…だが彼女が少し甘すぎるのはも否定しない」

「だからと言って公の場で中傷する必要が…」

「聞かれているからな」


視線を別の方向に送ると気配を感じる。

「侯爵家ですか」

「ああ、俺達の同行を探っている。ここで過度に彼女を庇うような言葉を言えば厄介だ。ステラ嬢に対しても」


「ですが、先ほどの発言は辺境伯爵令嬢を侮辱したと勘違いされかねません」

「俺は彼女に何と思われようとも痛くもかゆくもない。元よりいけ好かなかったからな」

「殿下‥‥」


レグルス様は元から他国の女性に厳しめだ。
その理由は我が国とは異なり他国の貴族令嬢、夫人が自立心がないからだ。


留学を兼ねてこの学園に入ってから余計にその傾向が強くなった。
辺境貴族を見下し、己の力だけでは何もできないというのに、自尊心だけは強い。


かといって自分がどんなに嫌われ者になっても守るべきものは守るという方だ。


「ですが彼女も被害者で…」

「王子やその側近に依存に近い状態だった…他の生徒会役員は助け舟を出していたはずだ」

「ですが、身近に親切に接してくれる存在がいればどちらを頼るか明白でしょう」


ステラ嬢に関してはまぁ…気の毒ではある。
王子が馬鹿な真似をしてくれたせいで女子生徒から反感を買い、孤立したのだから。


だが、彼女に手を差し伸べた者はいたはずだ。
なのに彼女は気づかなかった。

気づけなかった。


精神的にしんどい状況下で。



「あの程度でどうこうなるなら、他国では潰れる…カリスタは完全なる実力主義だ。特に女性が強いからな…俺にひるむなら不合格だ」

「では合格と?」

「あの負けん気があれば問題ないだろ。俺を見て嫌悪感というよりも敵対心むき出しだ…ははっ」

笑っている場合か。
万一、嘘でも好意を持つ女性を悪く言ったんだ。


あの狂乱の騎士にばれたらどうなるか。


「言い過ぎたとは思う。だが、リゼはあの二人を信じすぎた…自分が我慢すればすべて収まると思ってしまった」

「それは…」


「俺ももっと早く助け出せられなかった。部外者の俺が言う資格はないが」


この方はマゾか?
自分で言っておいて傷つくなんて本当に馬鹿だろ。



「本当に程々にしてください。ステラ嬢は殺意むき出しですよ。ある意味彼女は頭がいい…夜道に襲われないようにしてください」

「なんの為にお前がいるんだアリオット…しかし女装が良く似合うなアリー」

「誰の所為ですか!誰の…」


レグルス様が留学すると決まった時に私も身分を偽ることになった。
平民である私が学園に同行するには警備隊か司書が無難だったが、何故かミカエラ様と王妃陛下により寮母として入るように言われた。


当初、あの二人の楽しみの為かと思った。


実際半分は楽しんでいるのだろうがもう半分は学園の内情を知るためだとか。
もちろん学園長は知っているし、寮母と言っても女子寮ではプライベートに関することはしない。


食事の準備と、警備に関してだ。
基本、オンボロ寮以外は、使用人の同行を許可されているし、自身の部屋の管理は寮母の仕事じゃないからだ。




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