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閑話ヒギンズ夫人の後悔①
しおりを挟むティメリア王国では他国からの物流が止まることは、大問題だった。
特に海の国と言われるカリスタから援助が無くなり、物資も届かなくなる状態となり一番困るのは辺境地だった。
言うまでもなく辺境貴族夫人筆頭のヒギンズ夫人はこの事態に頭を抱えていた。
「奥様、隣国へ船が停止となり、生活がままならなくなっています」
「このままでは物価が値上がりして私達のような者は!」
「今はまだいいでしょう。冬になれば食料は各自に不足します!」
他の辺境貴族夫人はここぞとばかりにヒギンズ夫人に詰め寄った。
「今はどうとも言えません」
「どうとも…ではどうしろと!」
国の外交に関してはヒギンズ夫人がどうこう言うことはできない。
意見を言うことはできても、決定権はない。
以前ならまだしも、現在は会議に参加できなくなってしまったのだ。
王妃の怒りを買ってしまったからだ。
側近を外され息子は学園内で失態続きで立場が危ぶまれる現状だった。
領地代行をしてはいるが以前のような権威はなかった。
「私達はこれまで貴女様の為に多くを犠牲にしてまいりました」
「なのに、肝心なことは…」
「私達はどうしたらいいのですか!」
この場に集まっている貴族夫人は皆、若かりし頃にヒギンズ夫人に力を貸した者達だ。
時には夫よりもヒギンズ夫人の命を優先して来たのだ。
だがヒギンズ夫人からすれば、自分に頼って来ても困るのだ。
「そんなことは自分で考えなさい!」
「私達でどうにもならないからお聞きしているのです」
「カリスタ王国だけでなく他の同盟国からも援助は断ち切られている状況です。辺境地においてどれだけ大変か解らないはずありません」
「このままでは…」
「私だってそんな余裕はありません!」
テーブルを乱暴に叩きながらヒステリックに叫ぶ。
常に冷静であることを夫人達に言っていたのに、今のヒギンズ夫人に冷静さはない。
それだけ追い込まれているのだ。
「王妃陛下も走り回っておられるけど、我が国の王太子殿下は凡愚だと他国にも周り、廃嫡をされたという噂は消えないです。そんな国と外交をしたい国がいると思って?王妃陛下の返答は…各自自身の身の振り方を改め世戸の事です!」
「そんな!」
「では、王家は何もしてくださらないと?」
「そんな余裕があると?金銭的だけでなく人手不足だけでなく後始末で王妃陛下と合うこともできないのですから」
これ以上の話し合いは無意味だと夫人達を追いかえす形になった。
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