所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ

文字の大きさ
149 / 210

114傲慢な夫人~リオネルside④

しおりを挟む




一部では娘を隣国に嫁がせたのは英断だと勘違いする輩が王妃陛下から直々に褒美を賜ったと思っている。

実際にも爵位を上げると言われたけど。

私は断ったのだ。
貴族であることに執着はない。


ただ領民の暮らしを思えばこそだ。
私の悩みに領民は好きにして欲しいと言ってくれた。

騎士団を辞める気はない。
平民になったとしても騎士でありたいと思っている。

だからこそ断ったのだ。
そして同時に私の爵位を下げて欲しいと。

国を根本的な場所から変えたいと仰せだった王妃陛下。
その思いは痛いほどわかる。

だからこそ私は丁重にお断りしたのだ。


「私は既に伯爵の地位しかない。しかも一代限り…そんな私が王妃陛下に直接にお願い事などできるはずがないでしょうに」

「なんて馬鹿なことを…それじゃあ私はただの無駄足。無能で地位もない男に私は…」


あまりのショックに私に対して言いたい放題だな。


「このクソ女、好き放題を」


「だから物騒なものを出すんじゃない」


懐から銃を出そうとするのを止める。


「話はこれで終わりでしょう?では早々にお帰りください。逆賊になりたくありませんから」

「逆賊…?」

「世間では貴女は既に王妃陛下の御心を無視した逆賊扱いです。騎士団団長としてそのような者と深く関わるなど自殺行為です。赤の他人ならば余計に」


「そんな貴方には慈悲の欠片もないのですか!」


今ここで言うか?
散々他人を踏みつけ見捨てて来たのに。


「私も少し厳しくすべきだと部下に苦言を申されましてね」


「なっ!」


「故に親しくもない者には情けをかけるのは止めます。甘さを少し捨てよとアドバイスを下さったのは貴女でしたね?」


これは遠回しに嫌味だ。
弱った夫人に最低だと思うが、散々私を馬鹿にしてリゼがあのようになった時彼女はなんて言ったか。





「所詮私は無能な騎士です。そしてその娘も無能で迷惑な存在なのでしょう?生きている価値もない程に」

「あれは…」


「そんな無能に力を借りなくとも貴女お一人でなんとかできますよ」


最後の言葉は嫌味ではない。
ヒギンズ夫人はこの程度で終わる人ではないだろう。


戦乱の時代に女性でありながら戦場を走り回り男にも一目置かれたのは真実なのだから。


人は常に苦難に立たされる。


だからこそ、危機に立たされればその環境に順応する。
すべての人間ができるわけじゃないが、少なくとも彼女は強い人だ。

それに夫とは離縁していないと言うことは二人の間に絆はあるはずだ。



「お帰りください」



今彼女が頼るべきは私ではないのだから。


しおりを挟む
感想 617

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧井 汐桜香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

【完結】真実の愛に気付いたと言われてしまったのですが

入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済みです!!!】 かつて王国の誇りとされた名家の令嬢レティシア。王太子の婚約者として誰もが認める存在だった彼女は、ある日、突然の“婚約破棄”を言い渡される。 ――理由は、「真実の愛に気づいてしまった」。 その一言と共に、王家との長年の絆は踏みにじられ、彼女の名誉は地に落ちる。だが、沈黙の奥底に宿っていたのは、誇り高き家の決意と、彼女自身の冷ややかな覚悟だった。 動揺する貴族たち、混乱する政権。やがて、ノーグレイブ家は“ある宣言”をもって王政と決別し、秩序と理念を掲げて、新たな自治の道を歩み出す。 一方、王宮では裏切りの余波が波紋を広げ、王太子は“責任”という言葉の意味と向き合わざるを得なくなる。崩れゆく信頼と、見限られる権威。 そして、動き出したノーグレイブ家の中心には、再び立ち上がったレティシアの姿があった。 ※日常パートとシリアスパートを交互に挟む予定です。

はっきり言ってカケラも興味はございません

みおな
恋愛
 私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。  病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。  まぁ、好きになさればよろしいわ。 私には関係ないことですから。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな
恋愛
 子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。 公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。  クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。  クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。 「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」 「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」 「ファンティーヌが」 「ファンティーヌが」  だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。 「私のことはお気になさらず」

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな
恋愛
 王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。 「お前との婚約を破棄する!!」  私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。  だって、私は何ひとつ困らない。 困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。

処理中です...