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113傲慢な夫人~リオネルside③
しおりを挟む咄嗟に部下達が前に出ようとしたがすぐに制止をして、私は甘んじて殴られる。
乾いた音が響き、口の中が切れてしまった。
「あっ…私は」
「満足ですか?」
「えっ…」
私を感情のままに殴ってそれで満足するなら殴ってもいい。
「私が気に入らないなら何度でも殴ってくださって結構です。まぁその後の責任までは知りませんが」
「何を!」
「頬を殴られるぐらい痛くもかゆくもありません。できましたらこのままお帰りいただきたいのですが」
部下達が今にヒギンズ夫人にとびかかりそうだ。
特に厄介なのが天井に控えている部下は銃を取り出している。
音が聞こえるんだ。
引き金を引く準備をする音が聞こえる。
だが、ここで部下達に引き金を引かせるわけにはいかない。
「既に侮辱罪、暴行罪となるので、次は何をなさいますか?」
「止めないか」
「こちらが甘い顔をしていたら調子に乗るのもいい加減にしてください。この件は正式に報告させていただきます」
「なっ…そんな!」
ご自分の立場を未だに理解していないようだ。
止めてなんて言える立場ではないと言うのに未だに自分の方が立場が上だと思っているのだろう。
「ヒギンズ夫人。貴女と私は敵対関係にあったはずです。なのに訪ねて来るのはどういうことです」
「敵対だなんて…私達は同じ辺境貴族で」
「だとしても私は悪しき選択をしたハミダシモノだとおっしゃったのは貴方のはずだ」
言った本人は忘れても言われた者は忘れない。
「そんな昔の…」
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今でもよく覚えている。
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「だから私に口添えを?あいにくですが私にそんな権限はありません」
「嘘よ!今の貴方は王妃陛下にお目通りできる立場にあるはずよ!」
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「は?」
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辺境伯爵という地位は決して低くない。
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故に王妃陛下が望まない限りは直接お目通りが叶うことはないのだから。
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