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112傲慢な夫人~リオネルside②
しおりを挟む昔から嫌われている。
いや、嫌悪されえていると言っても過言ではなかった。
きっかけは妻を迎えた時だった。
隣国の高位貴族の令嬢を迎えることで国に影響するか解っているのかと言われた。
その後も何度も。
できるだけ妻にその矛先がいないようにした。
情けない話だが、嫌味を言われるのは慣れている。
騎士の仕事の所為か問題のあるご令嬢を護衛することもあったからだ。
私が暴言を受けるのはいい。
妻が攻められるのが嫌だったのだ。
まぁ社交界で夫に守られて情けないと言っているのは知っていた。
けれど妻は…
「あの方は可哀想な方なのよ」
「可哀想?」
「ええ、夫に守ってもら事すら叶わない」
妻は同情的だった。
その理由は立場上男に頼ることができなかった。
物心つく前から温かい愛情に包まれたことはなかったのだろう。
両親は夫婦というよりも協力者的な関係で愛情はあまりないようだったと聞く。
「愛し愛され一緒になり私は幸福な生活を送っているわ。でも皆そうじゃないの」
大恋愛の果てに私達は表向きは政略結婚となったが恋愛結婚だ。
領民は皆優しく、私達の結婚を祝福してくれた。
結婚式は質素ながらも温かいもので、王宮ではなく領地の神殿で行ったのだ。
その点から違いがある。
私は潔癖症で愛人を持つことはなく、妻に信頼を寄せており領地代行は任せていたし。
社交界に必要以上でなくても妻の立場は守って来た。
そのことで責められたことはあったが開き直ったのだ。
「ティメリア辺境伯爵夫人!このような場に奥方を同行させるとはどういうつもりです」
「領地代行は妻に任せております。故に今後は妻を同行させます」
「は?何を…」
「ヒギンズ夫人も女性ながらに領主会議に出ておりますので」
「彼女とヒギンズ夫人は立場が…」
女性ながらに地位を得ている彼女は特別だと思う者は多い。
けれど私は賛同していない。
彼女一人でその地位を得たわけじゃないだろうに。
一人では何もできない。
私もだ。
「貴女が特別だとは思っていません」
「無礼な!」
感情の起伏が激しい人だった。
怒りに任せて私を殴り、後で後悔をする。
相手が私だからよかったものの…
今はどうだろうか。
あの時と変わったとは思えない。
「今も解らないのですね。独りよがりだ」
「無礼な!」
感情のままに動く癖はやはり変わらないのだと思った。
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