所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ

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118元王太の現状~アルフレッドside④

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ここでの生活は助け合いにより成り立っている。
自給自足をして食料は物々交換を行うことで糧を得ている。


私も当初は追放された元王太子ということで距離を置かれていたが、最初だけだ。
気さくな女性が多く、いうなればかかあ天下の領地とも言われている。


「アルフレッドさん。またあのホームレスかい」

「会長」

この領地の夫人会の会長だった。
この領地で船を牛耳っている気丈な方だ。


「騒がせてしまって申し訳ありません」

「仕事もしないで、寄生虫のようにアンタにぶら下がって…いつまで続けるんだい」


言うまでもなく、アグネスはここではまるで馴染めていない。
社交界では常に間に入ってくれたリーゼロッテ嬢がいただろう。


立場も侯爵令嬢だったからこそ周りは気を使っていた。
自分はカリスマ性に優れ社交的で誰からも愛されると豪語していたが、無条件に愛される人間はいないと私も地震もあの事件で理解した。


私は王子としてカリスマ性がないから人が離れたんじゃない。
人の気持ちを考える努力を怠り、相手を思いやることをしなければどんな優しい人でも離れる。


「アルフレッドさん、悪いことは言わない。あの女とは縁を切りな」


ここにきて当初は手厳しいと感じた彼女は今では私の良き理解者であり母親代わりでもある。
厳しい反面面倒見がいいのだ。


「もうアンタは王子じゃないだろ。貧しいとはいえ伯爵なんだよ」


「はい…」


名ばかりの貴族で、王都の人間で言う田舎貴族。
百姓貴族と言われる存在だ。

それでも、私も地位を与えられた存在だ。
ここでの私の役割は家畜を育て特産品を作り出すことだ。


とりあえず今は与えられた仕事は難なくクリアしている。
これまで領地経営に関する勉強に、幼少期に田舎で生活するための教育をされたことも役立っていた。


日々を真面目に生きていれば周りからの信頼を得られるようになった。

今はまだ見習い領主でしかないが…


「折角形になったんだ。あんたを認める人間も増えたのにあの女の所為で台無しになるじゃないか」

「皆さんにはご迷惑を…ですが、これも私の責任なんです」


元を辿ればこんなことになったのは私が不甲斐ないからだ。
婚約時代に私は彼女から逃げた。

すべてを否定されるのが辛くて。
すべてをリーゼロッテ嬢に押し付けて、嫌なことから目を反らした対価だ。


「アンタの事は宰相閣下からそれとなく聞いている。だけどね、人間は過ちを犯す生き物だ」

「ですが…」

「過去を悔いていても仕方ない。アンタはもう反省して罪を償っている」


私の罪は到底許されることではない。
残りの人生を贖罪に使うつもりだ、アグネスの事も何とかしなくてはならないと思った。


だけど…


それは間違いなのだろうか?



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