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139聞きたいこと
しおりを挟むお兄様の威嚇を解きながらも、警戒を怠ることはない。
「マルセル・タッカーさん。貴方に聞きたいことがあります」
「フンッ、だったら僕の要求を聞けば答えて…」
「これ以上調子に乗るならこれで殴りますよ」
手袋を外し見せたのはあの凶器だった。
指にしっかり嵌めている。
「なっ…」
「言っておきますけど。貴方は大公様の御孫様に手を出したんですよ?その意味わかります?平民が王家に手を出す行為を」
「なっ…大公だって」
私の生い立ちは必要最低限の方しか知らないから彼が知らないのは仕方ない。
「ステラさん、今は財務大臣の補佐官ですわ。後に公爵夫人となり女王陛下の義姪という地位になりますけど」
「そんな…」
奈落の底に落とす行為とはそういうことを言うのか。
追い打ちをかけるというのはこういうことを言うのだろうか。
「私は財務大臣ですから大事な補佐にストーキング行為をした場合は罪人として裁判にかけなくてはなりませんわ」
「エラノーラ様」
「私も君主として貴国と敵対はしたくない。故に引き渡してもいいのだが…その前に離れ小島に送るのが決まりだ」
どんどん真っ青になる。
この国に来てどれぐらいになるのか解らないけど、あの無人島に送られることの恐ろしさだけは知っているそうだ。
真面な食料もなく、整っていない環境に、天候が荒れれば命も危険だ。
そんな場所で生きて行けるとは思えない。
「まずは名誉棄損で逮捕ですわ。その後は不法侵入者の次は…」
「止めてくれ!頼む…ぶっ!」
何所から取り出しのか鞭で痛めつける。
「何様ですの?上から目線で気に入りませんわ」
「やめ…」
「人にお願いをする時は眉に床をこすり上げて土下座してお願いをすべきではなくて?」
本当に容赦がないわね。
涙目になっている彼が情けなく見えるわ。
「間違ってももらさないでくださな?」
「後で掃除するシスターが気の毒です」
「鬼…」
涙目でガクガク震えるけど、ここに彼の味方をしてくれる人は誰もいない。
私に助けろと訴えるけど、その前にお兄様とレオが壁になる。
「この期に及んでリゼに助けてもらおうなんて甘い」
「あれだけ彼女を傷つけて助けてもらえると思ったか?この屑が」
普段止めに入るレオも一緒になっている。
「さぁ、話せ」
じりじり責める二人。
選択の余地はなく、マルセル様は素直に従うしかなかった。
「私が知りたいのアルフレッド様の現状と、彼らの所在です」
後者はそこまで重要じゃない。
ただ心の奥底でつっかえているのは王太子の座を失ったアルフレッド様が今そうしているかだ。
恐らくだけど、彼らは学園を退学になった後に王都を追われた後に接触をしたはずだ。
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