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141真の絆
しおりを挟む感情的になったのか。
それとも自棄を起こしたのか、アルフレッド様を侮辱し続ける彼に同情を感れない。
「可哀想な人」
「何だと…ぐあああ!」
「お黙り」
エラノーラ様のヒールで踏まれ悲鳴を上げる。
彼もだけど元生徒会メンバーは馬鹿なのかしら?
それなりに勉強はできるようだけど、優秀な婚約者を粗末に扱い続けて捨てられても自分は悪くない。
他人の所為にし続け、これから先の長い人生を棒に振る行為を未だに続けているなんて。
「アルフレッド様は王太子には向いていなかったけど、優秀だったのだわ」
「馬鹿な…あんな凡愚な」
「辺境地は余所者には厳しいですわ。なのに、一年も満たない内に領民の信頼を勝ち取るなんて普通は無理です。その無理を成し遂げたのですから」
元よりコツコツ努力するタイプで天才肌ではなかった。
けれど完璧を求められ振る舞いを厳しく咎められ、幼少期から信頼している者から離され学園では肩書を見つめる人しか傍にいない。
元生徒会の彼らはアルフレッド様が王太子だから近づいただけ。
別にそれが悪いとは言わない。
始まりがどうであれ一緒に過ごせば情が生まれる。
アルフレッド様自身を好きになれば…
だけど彼らは最後までアルフレッド様を見ていなかった。
人としても僅かな情を抱かなかったのだから。
「あの方は貴方達よりも真っ当な心をお持ちですわ」
「馬鹿な…」
「過去の過ちを受け入れ現実逃避をしていない。過去の栄光にすがり現実を受け入れられない。過去は乗り越えるもの…でもそれすらできない貴方達にあの方を非難する資格はありません」
「貴様!何様だ!」
拘束されているのにまだ動けるのかと思ったが。
「ひぃ!」
地面に突き刺さる剣。
「何様なのはお前だ。リゼ、もうお兄様に任せなさい。こいつはこのまま串刺しにしてやろう…まずは人間が一番痛い場所は爪と歯だ」
「お任せください!この度私が開発した拷問道具のやっとこというものが!」
ペンチに似たものだった。
「東の帝国では地獄伝説があります。なんでも嘘をついた罪人の舌を引っこ抜くそうです!」
「止めろ…」
「しゃべらないでください。じゃないと舌だけでは…」
「ひぃいぃ!」
お兄様よりも問題児になってしまったステラ。
変なスイッチが入ってしまったのか表情は恐ろしかった。
お兄様の影響?
いや、これはお兄様というよりも。
「良くてよステラさん、それこそ強気の女性の姿ですわ」
この方の仕業か!
けれど結果的に、知りたい情報はすべて得ることができた。
元生徒会役員は全員、王都追放の後に個人的にアルフレッド様に連絡を取るも本人は頑な拒否し、関係はなくなっていたとのこと。
これだけ聞ければ十分だった。
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