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閑話被害者の会~①
しおりを挟む重い空気が漂う中、四人の女性が円卓会議を行っていた。
その中心にいるのは女辺境伯爵こと、ミレーヌ・バルトだった。
先月に爵位を賜り、伯爵家の家督を継いだ後に功績を認められた後に侯爵をすっ飛ばして女辺境伯爵の地位を得たのだが、不名誉な形で得た地位なので周りからの反感は少なかった。
しかも暴動が起きた領地の後始末なので誰もそんな領地は欲しがらず、領民は高齢者や、女性がほとんどで男ではほぼ無いに等しい…というか男達は領地を捨ててて逃げたのだ。
残された妻や娘に年老いた母親は行く当てもない状態で、貴族からすれば役に立たない領民だった。
とはいえ奴隷制度や非道な労働は王妃が固く禁じているためにどうすることもできず、そこに嫡男が失脚した後に長らく凡庸だと馬鹿にされた妹が跡継ぎになったのだ。
それ幸いと、男尊女卑の考えが強い旧貴族派ミレーヌを生贄にしたのだが。
ミレーヌは女辺境伯爵として見事な働きをした後に斬新な方法で領地開拓をした後に、元ヒギンズ領地を作り替えたのだ。
ミレーヌだけではない。
婚約者の不始末により迷惑をこうむった元令嬢も自らの手で地位を築き上げたのだが…
最近になって元婚約者達がまたしても問題を起こしている報告を聞き。
あまつさえ、ハイビスカ王国で騒ぎを起こし、視察に来ていたリーゼロッテに無礼を働いたことを手紙で知らされ頭が痛かった。
現在問題を起こしているのは、マーカス・バルトとマルセル・タッカーだった。
「王都を追われた後も温情をかけられたというのに」
「国内でも問題を起こした後にハイビスカ王国がどれだけ慈悲をかけてくれたとおもっているのか」
ミレーヌの隣で頭を抱える女性はかつて、マーカスの婚約者であり伯爵令嬢だった。
祖父がドワーフで、祖母が貴族だった。
ドワーフの血を受け継ぎ錬金術師でもある。
ただし、マーカスは貴族令嬢が職人の真似事をするなど論外だと言うが。
バルト家ではドワーフの技術が必要不可欠だった。
ドワーフを否定しながらも、当たり前のようにドワーフの技術を使い、しかも婚約者の功績を自分の物にしていたのだ。
横暴で傲慢すぎるマーカスに愛情を抱けるはずもなく、婚約解消することを望んでいたが。
ある日、何を思ったのか一方的な婚約破棄を言い放った。
その理由はステラを虐めたといういわれなきものだ。
そもそもステラとの接し方を少し注意しただけなのに勝手に嫉妬していると勘違いされ。
ミレーヌも注意をしようとしたが、普段から兄妹関係が最悪なので悪化するだけだった。
結局最悪な形で終わりを告げたのだった。
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